アルゼンチンで10月23日大統領選挙が実施され、現職のクリスティーナ・フェルナンデス=デ・キルチネル(CFK、故ネストル・キルチネル前大統領夫人)が得票率54・11%で当選した。2位の社民主義者エルメス・ビネル候補(16・80%)に37ポイント差をつけての圧勝だった。
勝因としては、人気の高かった前大統領の急死(昨年10月27日)を悼む人々が夫人を支援したことや、夫人が夫に支援されて、民営化されていた国民年金を国営に戻したり、労組交渉権を復活させるなど、国民生活に密接に関わる分野で新自由主義政策を覆す政策を推進したことへの高い評価などが挙げられる。
また、亡夫の遺志を継いで、軍政時代(1976~83年)に犯された人道犯罪の責任者を法廷で裁き続けていることも、人民大衆の支持を集める重要な要因となった。
CFKは、ペロン主義政党「正義党(PJ)」の左翼。ペロン主義政界で夫とともに、1990年代に新自由主義を強引に押し進めたカルロス・メネム大統領(ペロン主義右翼)の対極にあった。CFKの新任期は12月10日から4年間。同時に実施された国会議員選挙で、政権党は下院で多数派となり、上院でも議席を増やした。また改選9州知事選でも8州を制した。
(2011年10月25日1230更新 伊高浩昭)
【今回の大統領選挙結果およびアルゼンチン情勢については、月刊誌『ラティーナ』12月号(11月20日刊行)の「ラ米乱反射」などで分析します。】