2012年2月16日木曜日

キューバが米州首脳会議参加を希望

▽▼▽LAC(ラ米・カリブ)8カ国の連帯と相互援助のための組織「米州ボリバリアーナ同盟(ALBA=アルバ)」は2月15日、ハバナで特別外相会議を開き、キューバの第6回米州首脳会議への出席を支持することで正式に合意した。この首脳会議は4月14、15両日、コロンビアのカルタヘーナで開かれる。

    同首脳会議は、米州諸国機構(OEA/OAS)加盟の34カ国の首脳が出席する会議。OEAを1962年米国の主導で追放されたキューバだけは、除外されたままだ。

    OEA外相会議は09年ホンジュラスでの会議で、62年の追放決議を葬り、キューバのOEA復帰に道を開いた。ただし米国は、<キューバの民主化>が復帰の条件だと注文を付けた。

    昨年12月3日カラカスで、米加の北米両国を除くLAC33カ国は、「ラ米・カリブ諸国共同体(CELAC=セラック)」を創設した。キューバも原加盟国である。

    今ALBA外相会議でキューバのブルーノ・ロドリゲス外相は、「招かれれば米州首脳会議に出席する用意はあるが、OEAに復帰する意思は毛頭ない」と明言した。

    OEA加盟国の首脳会議へのキューバの参加問題が大きく膨らんだのは初めてだ。それは今月4~5両日カラカスで開かれた第11回ALBA首脳会議で、エクアドールのラファエル・コレア大統領が4日、「米州首脳会議にキューバが招かれない場合は、ALBA全体で出席するのをやめよう」と提起したことによる。
  
    米国は、キューバの出席に直ちに反対した。

    困惑したのは開催国コロンビアで、外相がキューバを訪れ、キューバの意思を確認するとともに、ALBAの盟主ベネズエラ、問題提起したエクアドールの両政府と協議した。その結果、キューバ出席の可否は開催国の一存では決められず、加盟国の合意形成が必要だとして、外交工作を開始した。

    ALBA外相会議は、コロンビアを困らせないため、「キューバ招待がなければALBAは出席しない」との立場を最終宣言には盛り込まなかった。

    OEA加盟34カ国のうちの32カ国とキューバはCELACに加盟する。その33カ国には、「LACの前衛」を自任するALBA8カ国が居る。このOEAーCELAC-ALBAの<3重構造>が、米州の政治・外交地図を複雑にしているのだ。

    キューバの「米国のLAC支配の道具OEAへの復帰はありえない」との立場は、以前とまったく変わらない。変わったのは、OEA首脳会議への出席を望んでいることだ。

    ラウール・カストロ議長は、市場原理を取り入れた経済改革を慎重に進めているが、その最大の外部的障害は、半世紀を超えた米国による経済・貿易・金融封鎖である。ラウールには、この封鎖を大幅に緩和させたい狙いがある。それを米大統領が出席する米州首脳会議の場で訴えたいのだ。

    しかしバラク・オバマ大統領は11月に再選をかけた大統領選挙を控えており、フロリダ州をはじめとする反カストロ派のキューバ系有権者の多い地域で票を減らしたくない。キューバ出席問題は、オバマの再選戦略にとっても極めて厄介な問題なのだ。

【参考資料:拙稿「揺れる米大陸の<南北関係>」=毎日新聞2月6日夕刊第4面掲載=】