経済困難から政情が混迷しているベネスエラのニコラース・マドゥーロ大統領は、事態打開を図るため、「革命の中の革命」を遂行すると7月初め表明した。その切り札は何と、半世紀前にチェ・ゲバーラの側近だった経済学者オルランド・ボレーゴ(78)である。
ボレーゴは、クーバ革命戦争をチェの下で戦った後、革命政権の工業相に就任したチェの補佐官になった。その後、ソ連に留学し、経済博士号を取得した。カストロ政権で、経済畑の要職を歴任した。
ベネスエラでは、生活必需物資欠乏、インフレ60%、停電、断水などで国民不満が高まっている。マドゥーロの支持率も大幅に下落し、政権党ベネスエラ統一社会党(PSUV)内部や退役軍人から辞任要求が出る始末だ。貧困率も27%=900万人で、増える傾向にある。
大統領は、クーバのラウール・カストロ議長に経済顧問派遣を要請、ボレーゴが4月からカラカスに滞在している。今月下旬にはPSUVの党大会が開かれるが、そこで大統領が発表する経済報告を、りカルド・メレンデス企画相とともに策定している。
来年12月には国会議員選挙が実施される。マドゥーロ政権は経済を建て直して持ち堪え、同選挙で勝利したい構えだ。