ベネスエラ国家選挙理事会(CNE)のティビサイ・ルセーナ理事長は8月9日、反政府野党連合MUDが提出した大統領罷免国民投票の実施申請に必要な有権者1%(20万人)の署名の検証が終わり、9月16日に申請手続きの次の段階に入るか否かを決める、と明らかにした。
次の手続きは有権者の20%(400万人)の署名集め。MUDは10月末に同署名簿をCNEに提出、CNEは30日以内に検証する。名簿の正しさが確認されれば、国民投票は90日以内に実施されることになる。つまり12月~来年2月の期間。
これに対し亜国のマウリシオ・マクリ大統領は「ベネスエラはひどい状態にあり、VEN大統領は新たな大統領選挙実施のため国民投票を速やかに実施せねばならない」と内政干渉発言をした。
ベネスエラのデルシー・ロドリゲス外相は直ちにマクリ発言を糾弾。マクリがブラジル、パラグアイrと共に、ベネスエラの南部共同市場(メルコス-ル)議長国就任を阻んでいることに触れて、「マクリは米政府作成の脚本に沿ってメルコスールを破壊しようと画策している。亜国人民は自分たちの声を聞かないマクリ新自由主義・反民主政権の傲慢さに反駁しているが、その傲慢さをもってメルコスールを壊そうとしている」と激しく非難した。
ワシントンに本部のある米州諸国機構(OEA、加盟34カ国)は11日の大使会議で、ベネスエラに国民投票早期実施を求める声明を作成、15カ国が署名した。米国が主導、カナダ、メヒコ、グアテマラ、ベリーズ、オンドゥーラス、コスタ・リカ、パナマ、コロンビア、ペルー、チレ、パラグアイ、亜国、ウルグアイ、ブラジルが賛同した。
VENの他、ニカラグア、エル・サルバドール、エクアドール、ボリビア、アイチ(ハイチ)、ドミニカ共和国、スリナム、およびジャマイカ、トゥリニダードトバゴなど英連邦11カ国は声明に反対した。
OEA駐在ベネスエラ大使ベルナルド・アルバレスは、この内政干渉措置を「異常かつ反外交的」と批判した。
亜国保守紙ラ・ナシオン10日付が報じたパン・ギムン国連事務総長へのインタビュー発言によると、同総長は「ベネスエラは政治的不安定により、食糧、水、衛生、衣類などが不足し、人間生活が危機に陥っている。国連は事態打開に協力する用意があるが、既に南米諸国連合(ウナスール)など地域機関が関与している」と述べた。
一方、ニコラース・マドゥーロVEN大統領とコロンビアのJMサントス大統領は11日、VEN西端のボリーバル州オルダース港市で会談、昨年8月19日から閉鎖されてきた両国国境を13日から順次再開することで合意した。
マドゥーロは去年、密貿易、麻薬取引、武装犯罪団侵入などを理由に国境を閉鎖した。両国は1年ぶりの国境再開に備え、「犯罪取締所」を合同で設置、国防相同士が話し合い、国境線の治安を確保してゆく。
マドゥーロはまた、治安を担う内務・司法相にネストル・ロベロル将軍を任命した。米麻薬捜査局(DEA)は同将軍の「麻薬取引関与」を指摘、VEN政府に揺さぶりをかけてきたが、マドゥーロは米政府牽制策として敢えて同将軍を要職に起用した。
VENのエウロヒオ・デルピーノ石油相は8日、中国国営石油(CNPC)との合弁で「SINOVENSA(シノベンサ)」社を設立しつつある、と明らかにした。出資率はVEN60%、CNPC40%。中国側は、この計画用に40億ドル融資する。