ボリビアのエボ・モラレス大統領は8月17日、サンタクルース州ワルネス市での軍事学校開校式で100分間演説、ラ米進歩主義諸国の軍人に反帝国主義教義を教えてゆく、と強調した。
同市内の国連訓練施設跡地に建設された「フアン=ホセ・トーレス将軍反帝国主義司令学校」は当面、ボリビア人士官候補生71人に4カ月間、教育を施す。士官および下士官を対象とした入学は義務ではないが、昇進に影響する。教科は歴史、地政学、軍事戦略など。
将来的には定員200人、ボリビア、ベネスエラ、エクアドール、ニカラグアの「米州ボリバリアーナ同盟」(ALBA)のラ米加盟国軍人を教育する。ALBA加盟国クーバは独自の革命教育を持つため、入学しない。式典にはボリビア軍部高官のほか、べネスエラとニカラグアの国防相、エクアドールの副国防相も出席した。
モラレス大統領は演説で、米国がかつてパナマ運河地帯に維持していた「ラス・アメリカス学校」のような帝国主義の対ラ米恐怖政策伝播に対抗するため開校したと前置きし、「米国が軍事学校で世界支配を教えるならば、我々は帝国主義の抑圧からの解放を教えよう」と述べ、「これは帝国主義に対する人民防衛のための学校だ」と指摘した。
大統領はまた、「ボリビアは過去にスペイン支配に遭い、その後、英国の間接的攻撃により1879年の太平洋戦争で海岸領土を失う結果となった」、「米国はテロリズモを口実に中東諸国に侵略、ボリビアには麻薬取引を口実に介入してきた。侵略対象は資源豊かな国々、反帝国主義政府のある国々だ」とも語った。
学校名のトーレス将軍は1970~71年の軍事人民政権大統領。亡命先の亜国で76年、「コンドル作戦」により暗殺された。
▼ラ米短信 クーバ共産党は8月16日、「経済社会政策指針」を改訂、274項目を発表した。「市場関係が客観的に存在する」と認める一方、「私有資産と富の集中は許さない」、「中央集権経済体制は維持する」と釘をさし、「インターネットのサービス改善に努める」とも表明。
クーバ経済の成長率は上半期、予想をはるかに下回る1%。米国経済との部分的接近が改革に本質的効果を及ぼしていないことや、ベネスエラの政経両面の危機による原油供給減が影響を及ぼしている事実が明白になった。さらに改革に対する官僚層など守旧派の抵抗が依然強いことも浮き彫りになった。
国内の経済不調によって、改革の歩みは遅く、効果は限定的であり、国民不満は募っている。共産党は5月、「2030年までに中小民間企業を公認する」と打ち出したが、今回、その実現のための行程表は明らかにされなかった。