ニカラグアでは11月6日、次期大統領選挙が実施される。出馬登録は8月1~2日で、6人の出馬が決まったが、連続3選を狙うダニエル・オルテガ現大統領(70)が副大統領候補に据えたのは何と、妻ロサリオ・ムリージョ(65)だった。
他の5候補は泡沫的候補であり、オルテガ組の当選は固い。オルテガは1986~90年、サンディニスタ革命政権の大統領を務めたが、90年の選挙に敗れて野に下り、2006年の選挙で返り咲いた。
2007年1月から2期10年を務めつつあり、来年からは連続3期、通算4期目の任期に入る。オルテガが夫人を副大統領候補にしたのは、自らの健康不良によるところが大きい。当面の後継者を妻に決めたことになる。
ムリージョは異色の詩人で、1969年にサンディニスタ民族解放戦線(FSLN)に参加。オルテガと再婚、2007年に大統領夫人となってから権力の半分を握ってきた。今回、「女性国民の代表として副大統領候補になる」と宣言した。
内外でたちまち批判非難が渦巻きだし、ビクトル・ティノコ元副外相は、「サンディニスタ革命が1979年に倒したソモサ家3代42年間の独裁の再来」と酷評している。
ティノコはFSLN分派の左翼党「サンディニスタ改進運動」(MRS)の国会議員だったが、7月29日、国会から追放された。
ラ米では、亜国の1973年大統領選挙でフアン・ペロンと夫人イサベルが正副大統領に当選、74年ペロンが死去しイサベルが大統領に昇格した。また21世紀になってからペロン派のネストル・キルチネル大統領に続いて、妻のクリスティーナ・フェルナンデスが2期大統領を務めた。
パナマでは、故アルヌルフォ・アリアス大統領の妻ミレイヤ・モスコーソが大統領になった例がある。グアテマラとオンドゥーラスでは大統領経験者の妻が大統領選挙に出馬し、落選している。
別件だが2日、ニカラグア湖を小舟で渡ろうとしていたアフリカ人不法移民8人が水死した。米国行きを目指し、コスタ・リカから密入国したアフリカ人一行に属していた。
▼ラ米短信 ベネスエラのニコラース・マドゥーロ大統領は8月1日、最高裁に国会が非合法か否かの判断を求める、と明らかにした。野党連合MUDが多数派の国会は7月、選管から当選資格を剥奪された自派の3人を議員として認定、議場に入れた。
大統領はこれを違法行為と指摘、最高裁が非合法と判断すれば、国庫からの国会運営予算は打ち切る、と警告した。
一方、大統領罷免国民投票実施を求めているMUDは、大統領発言を「国民投票実施を避けるための時間稼ぎ」と非難している。