国連「国際先住民族の日」の8月9日、LAC(ラ米・カリブ)各地で記念行事が催された。ボリビアのエボ・モラレス大統領(アイマラ人)はサンタクルース市での記念式典で演説、「500年の偉大な闘争を経た先住民族の運動は自動的に反帝国主義になった。なぜなら反植民地闘争であるからだ」と指摘した。
1992年のコロンブス米州到着500周年にノーベル平和賞を受賞したグアテマラ・マヤ民族のリゴベルタ・メンチューは、授賞25周年を兼ねた式典で、「人種差別主義者は加害者というよりも、自らの教義の犠牲者だ」と強調した。
LAC地域の先住民族は522民族。ブラジルは241民族だが、その合計人口は73万人と少ない。コロンビアは83民族で、人口は139万人。メヒコは67民族、950万人と人口は最も多い。ペルーは43民族、392万人。LAC先住民族の87%はメヒコ、ボリビア、ペルー、グアテマラ、コロンビアに住む。エル・サルバドールは3民族で、1万3000人と少ない。
サパティスタ民族解放軍(EZLN)が1994年元日に蜂起したメヒコのチアパス州は、州人口1570万人の14・2%が先住民族。チャムーラ、ララーインサルなど41市にツェルタル、ツォツィル、チョル、ソケ、トホラバルなど12民族が住む。
州都トゥーストラグティエレスでは7日、全国先住民族会議(CNI、1996年発足)とEZLNの会合が開かれ、「先住人民開花の時が来た」という名称の市民協会が設立された。
CNIは今年5月、先住民族女性マリーアデヘスース(愛称マリチュイ)・パトゥリシオ=マルティネス(57)を、2018年7月のメヒコ大統領選挙に出馬する初の先住民族統一候補に選んだ。「2度と先住民族抜きのメヒコ政府をつくらないように」との願いからだ。
今会議では、各州政府、組織犯罪集団、鉱山・石油・電力・森林業者らによる暴力、土地奪取、水源破壊などが日常的に起きていることがあらためて指摘された。
パラグアイでも6日、「パラグアイ多民族先住民政治運動」が結成されている。
▼ラ米短信 ◎米国がクーバ外交官2人退去させる
米国務省は8月9日、在米クーバ大使館の外交官2人を5月23日、国外退去させたと発表した。昨年秋、ハバナの米大使館外交官数人が、外交官宿舎で原因不明の聴覚障害に見舞われたのに対する報復的措置だった。クーバ政府は関与を否定している。