ベネスエラ制憲議会(ANC)のデルシー・ロドリゲス議長は8月11日、ドナルド・トランプ米大統領による対VEN軍事攻撃の脅迫発言を受けて、ANCが対処について審議したことを明らかにした。デルシー議長は、「米大統領による卑劣、傲慢、破廉恥な脅迫を糾弾する」と表明した。
議長はまた、「国家最高機関である大統領ニコラース・マドゥーロへの攻撃は、反帝国主義のVEN人民によって一蹴されよう」とも述べた。
米大統領はHマクマスター安保担当補佐官らと協議した後、「軍事的選択」を口にしたが、マクマスターは先週、「マドゥーロに責任を米国に転嫁する口実を与えないのが肝要」と語っていた。トランプ発言は「好戦的米帝国主義」という攻撃理由をマドゥーロ政権に既に与えてしまったことになり、同補佐官と大統領の間に政策の食い違いがある、との指摘がなされている。
弾劾に繋がる対露癒着疑惑の捜査で窮地に陥りかねないトランプが、ベネスエラを軍事攻撃してマドゥーロ体制を破壊し、人気を勝ち取り劣勢を挽回する誘惑に駆られているのではないか、とする見方が成り立つ。その体制破壊作戦を、「核威嚇」を続ける北朝鮮への「見せしめ」にする、という計算もありうるだろう。
だがら、チレ外相は逸早く危険を察知し、軍事攻撃への断固反対を打ち出した。マイク・ペンス米副大統領は13~18日、コロンビア、亜国、チレ、パナマを歴訪、4カ国首脳と「ベネスエラ対策」を含め話し合う。トランプ発言は、この歴訪に「軍事的選択」という枠をはめてしまった。
一方、ANCは11日、ティビサイ・ルセーナ理事長以下4人の国家選挙理事会(CNE=中央選管)執行部を信任した。これにより、年内に実施される予定の州知事選挙を含め、今後の選挙や国民投票は現行CNEが推進することになった。
▼ラ米短信 ◎フレイ元チレ大統領暗殺で断罪へ
チレ検察は8月11日、エドゥアルド・フレイ元大統領を1982年1月22日、首都サンティアゴ市内のサンタマリーア診療所で毒殺した犯人集団6人に求刑することを決めた。フレイは、当時のピノチェー軍政に反対していた。被告6人は、元秘密警察要員2人、フレイの元自動車運転手1人、医師3人。近く判決となる運びだ。
フレイの娘カルメン・フレイ元上院議員は、「これで気持ちが晴れた」と語り、ピノチェー軍政による暗殺実行という重罪をあらためて指摘した。ンーベル文学賞詩人パブロ・ネルーダもピノチェークーデター直後の1973年9月、同じサンタマリーア診療所で謎の死を遂げており、軍政に毒殺された可能性が濃厚となっている。10月には、その最終的判断が公表される見込み。