ベネスエラのニコラース・マドゥーーロ大統領は8月2日、首都カラカス市内のポリエドロ(多目的催事殿堂)で、制憲議会(ANC)議員545人の宣誓式を主宰。ANCは当初の予定2日を変更し、4日午前11時、国会議事堂で開設する、と発表した。
大統領はまた、6月に暫定的に就任したサムエル・モンカーダ外相を、ホルヘ・アレアサ環境重視鉱業相と交代させた。アレアサ新外相は外資との難しい交渉に携わり、国際感覚が豊か、と大統領は評価。アレアサは故ウーゴ・チャベス大統領の女婿。2013~16年、執権副大統領を務めた。
マドゥーロ大統領はまた、ベネスエラは、脱退を通告していた米州諸国機構(OEA)に復帰する、と発表した。モンカーダ前外相が、北米担当副外相兼OEA駐在大使となる。大統領は、「ワシントンに駐在し、そこからベネスエラの真実、平和主義、尊厳を防衛してほしい」と、モンカーダ大使を激励した。
大統領はさらに、保守・右翼野党連合MUDの穏健派(非暴力派)の伝統政党、民主行動党(AD)が年末の州知事・州会議員選挙に参加する、と明らかにし、同党の決断を評価した。大統領によれば、ヘンリー・ラモス同党書記長(前国会議長)も出馬する。
マドゥーロは、「ベネスエラは外国から政治・経済・軍事的攻撃を受けており、世界にベネスエラ防衛への支援を求める」と、国際社会に呼び掛けた。これは、ペルーのPPクチンスキ大統領が米政府の意向を汲んで8日リマで、ラ米有志国外相会議を開き、対ベネスエラ共同政策を策定しようとしているのを特に牽制したものと受け止められている。
大統領に次ぐ政権の実力者ディオスダード・カベージョ政権党副党主は2日、国会解散と検察庁改革の可能性を指摘、MUDが15年1月取り払ったチャベス前大統領の肖像画を国会議事堂に戻す考えを示した。
一方、米副大統領マイク・ペンスは訪問先のモンテネグロの首都ポドゴリツァで、「ベネスエラ独裁糾弾」を呼び掛けた。「独裁」呼ばわりは、米政府に軍事侵攻以外の有効的手段がなくなったことを示唆する極めて危険は表現だ。
ベネスエラは独裁とは程遠い。独裁ならば、MUDを初め反政府勢力、反政府マスメディアなどが、これほどしたい放題に暴れたり虚偽情報を流したりすることは不可能だ。独裁とは、かつてのピノチェー智軍政のような体制を指す用語だ。米首脳の無知と苛立ちが曝け出された。
7月30日のANC議員選挙をはじめ、これまで選挙の電脳集計を担ってきたスマートマティック社は、投開票に不正操作があった可能性がある、と公言した。これを受けてMUDは2日、ANC開設前に国会で同社責任者を証人喚問する必要があると述べた。
欧州連合(EU)は2日、ANC開設を認めない、と表明した。亜国のアエロリネアス航空は、5日のブエノスアイレス-カラカス便の運航を取りやめ、以後、同便の運航を停止する、と発表した。米国による反ベネスエラ諸国への呼び掛けが奏功したもの。
▼ラ米短信 ◎テメル伯大統領が弾劾裁判免れる
ブラジル国会下院は8月2日、汚職まみれのミシェル・テメル大統領を弾劾裁判にかけるか否かを採決、賛成227、反対263で、否決した。弾劾決定には定数の3分の2の342票が必要だが、遠く及ばなかった。