2017年8月5日土曜日

★★★ベネズエラ制憲議会(ANC)開設成る。デルシー・ロドリゲス元外相が議長に就任▼ローマ法王庁はANC開設を止めるよう説得したが奏功せず▼ニカラグアが逸早く祝福

 ベネスエラ憲法を「加憲改定」するための制憲議会(ANC)が8月4日、国会議事堂で開設された。保守・右翼野党連合MUDが016年1月以来、圧倒的多数を握る国会(AN)と同じ議事堂内に共存することになったが、ニコラース・マドゥーロ政権の意思を代表するANCは早晩、国会にとって代わる存在になろうと準備を進めている。

 この日、7月30日の選挙で当選したANC議員のうち530人以上が出席、宣誓して就任。直ちに、デルシー・ロドリゲス議長(元外相)以下5人の執行部を選んだ。

 デルシーANC議長は就任演説し、「マドゥーロ大統領は(ANC開設によって)権力を人民に渡したことで巨人となった」と、ニコラース・マドゥーロ大統領を讃えた。現行憲法349条が、ANCは最高権力機関であり、大統領をはじめいかなる機関もANCの決定を阻止できないと規定していることを踏まえて発言だ。

 続けて、「ANCは、祖国を我がものとし新自由主義を復活させようと企む国内少数派による未曾有の深刻な紛争の中から生まれた。ANCは、暗黒の右翼独裁勢力に打ち勝った」と指摘。4月初めから続く、MUD極右と米政府が連携しての街頭暴力・破壊活動事件によって陥った危機の打開のためANC開設を余儀なくされた、という政権側の立場を示唆した。

 チャベス派民兵隊は、故ウーゴ・チャベス前大統領の大きな肖像写真と、同じく解放者シモン・ボリーバルの肖像画を国会本会議場に再設置した。16年初め、MUDが国会多数派となった際、撤去されたものだ。

 MUDは4日、カラカス市内を抗議行進したが、かつての勢いを失っていた。MUD穏健派の民主行動党(AD)が2日、他の野党諸党に先駆けて年末の州知事・州会議員選挙に参加する意思を表明するなど、MUD内の対立・分裂が表面化していることと無関係ではない。

 ANCの第1副議長には、アリズトーブロ・イズトゥーリス前執権副大統領、第2副議長にはイサイーアス・ロドリゲス元検事総長が、それぞれ就任した。このほか執行書記と副執行書記も就任した。

 ローマ法王庁は4日、ANC開設に先立ち声明を発表、「現行憲法順守を求める。新憲法制定過程は回避もしくは中断すべきだ。緊張と衝突の空気を醸成し、未来を抵当に入れることになるからだ」と、いつになく明確な調子でANC開設を思い止まるよう、マドゥーロ政権に働きかけた。だが効きめはなかった。

 ダニエル・オルテガ大統領のニカラグア・サンディニスタ政権は、逸早くベネスエラを祝福。クーバ共産党(PCC)機関紙グランマは、ANC発足の模様を細かく伝えた。

 米フロリダ州上院のある議員は、ベネスエラ原油の輸入即時打ち切りを呼び掛けた。一方、ベネスエラ国営石油PDVSAは露ロスネフト社と合弁で、VEN国内3カ所の天然がス田の調査を開始した。ベネスエラ原油は4日、1バレル=46・61ドルだった。