2017年8月6日日曜日

★ベネズエラ陸軍の小集団が反政府決起し制圧さる▼カラボボ州都バレンシアの機甲旅団基地で▼制憲議会(ANC)が検事総長を解任▼メルコスールはベネズエラの加盟資格を「恒久的停止」に

 ベネスエラ中北部のカラボボ州都バレンシアで8月6日未明、陸軍部隊の一部がマドゥーロ政権打倒を目指し蜂起したが、制圧された。

 地元紙エル・カラボベーニョは、同市内にある陸軍第41機甲旅団所属のフアン・カグアリパーノ大尉以下約20人が、同旅団の本拠パラマカイ基地を占拠しようとして銃撃が展開された。屋内の床に転がる兵士の姿が映し出されている。

 4日発足した制憲議会(ANC)のディオスダード・カベージョ議員(政権党PSUV副党首)は6日、蜂起があったことを認め、「テロリスタらは制圧され、逮捕されている.他の基地では同様の事態は起きない」と表明した。

 カグアリパーノ大尉は映像メッセージで、「憲政秩序回復を目指しマドゥーロ政権を倒すため、市民に決起を求める」と呼び掛けた。この蜂起は「ダビー・カラボボ作戦」と名付けられていた。大尉らは、憲法350条が「市民不服従」 の権利を認めているとし、これを蜂起の論拠としている。

 基地周辺の道路では、ベネスエラ国旗を持ち、国歌を歌いながら歩く市民らしい人々の姿が見られた。彼らが蜂起した軍人たちを支持しているか否かは確認されていない。

 マドゥーロ政権は「文民軍人合同政権」として安定を確保してきたが、ごく僅かであるにせよ軍部の一部が蜂起した事態は極めて重大だ。しかも、政権が政治危機打開のための起死回生の策として開設したANC発足から3日目に起きた事件だ。

 ANCは5日、3月末から政権と対立していたルイサ・オルテガ検事総長を解任し、公職から追放した。オルテガは、抵抗し続けると表明、政権相手に闘い続ける構えだ。

 ニコラース・マドゥーロ大統領は、暫定検事総長にオンブスマンのタレク・サアブを任命した。強権執行者と人権擁護者が同一人物という異常な人事で、批判が起きている。

 1日に自宅軟禁から刑務所に身柄を移された保守・右翼野党連合MUDの極右政治家レオポルド・ロペスと、同右翼政治家アントニオ・レデスマは4日から5日にかけて再び自宅軟禁処分となった。

 一方、南部共同市場(メルコスール)は5日、ベネスエラはANC開設により民主が失われたとして、同国のメルコスール加盟資格を、従来の「一定期間の停止」から「恒久的停止」に切り替えた。事実上の追放処分である。この決定は、トランプ米政権の意向も汲んだ南米右翼の旗頭マウリシオ・マクリ亜国大統領が主導した。