グアテマラ検察庁は1月6日、軍政期などに殺戮など人道犯罪に関与した疑いで元軍人18人を逮捕した。その中には、軍政首班(非合憲大統領)を1978~82年務めた故フェルナンド・ルカス=ガルシアの実弟マヌエル・ルカス=ガルシアが含まれている。最高齢者は80歳で、あとは60~70代。
18人中、ルカス=ガルシアら14人は1981~88年にアルタベラパス県コバーンの陸軍第21軍区に連行された先住民558人の虐殺に関与した疑いがもたれている。この軍区の「平和維持作戦訓練地域指揮所」(CREOMPAZ)は、殺害部隊を指揮していた。
グアテマラ法人類学財団(FAFG)は、2012年以降、軍区一帯の4カ所を発掘、うち4カ所から遺骨が発見された。すべての頭蓋骨などに射殺ないし斬殺された痕跡があった。
この大量殺戮事件の捜査は、1982年7月18日に陸軍がマヤ民族アチー人256人を殺害した際、関与した元準軍部隊要員5人に2012年3月、合計7710年の禁錮刑が言い渡された時点から本格化した。この256人殺害作戦は「サンチェス計画」と名付けられていた。
256人を含む558人の遺骨のうちDNA鑑定で身元が判明したのは97柱だけ。また、犠牲者はほぼ全員が非戦闘員で、うち90人は未成年だった。成人には多くの女性や老人も含まれていた。
元軍人18人のうち残る4人は、1981年1月6日グアテマラ市で起きた女性拉致拷問強姦事件の実行者である疑いで逮捕された。同4人は、エンマ・モリーナという女性を9日間いたぶり、その弟MAモリーナを強制失踪させた疑いがある。
検察はさらに、今月14日就任するジミー・モラレス新大統領の主要な顧問であるエドガル・オバージェの不逮捕特権剥奪を国会に要請した。オバージェも人道犯罪に関与した疑いがある。
14日から政権党となるモラレスの政党「国民結集戦線」(FCN)には国会議員11人がいるが、オバージェはその一人。新政権の行方には、発足直前から暗雲が立ち込めた。逮捕された元軍人たちは退役軍人協会に所属しており、同協会はFCNの支持団体。この点もモラレスにとり極めて好ましくない。
人道犯罪犠牲者の遺族を支援する「相互支援団」(GAM)のマリオ・ポランコ代表は、「元軍人たちの逮捕は歴史的だ。彼らは一時期、グアテマラ人の生命とグアテマラの所有者を自認していた」と語った。