グアテマラの在イスラエル大使館が5月16日、従来のテルアビブからエルサレムに移転した。新大使館の開館式典にはジミー・モラレスG国大統領とベンヤミン・ネタニヤフ首相らが出席した。
グアテマラは1948年のイスラエル建国に際し、米国に次ぎ2番手でイスラエルを承認した。今回も前々日14日の米大使館移転に続く2番手の移転となった。
エルサレムには1956年から80年まで大使館を置いていたが、国連決議などを受けてテルアビブに移転していた。今回の移転で元に戻ったことになる。
Jモラレス大統領は福音派信徒。G国内には、「大統領の職責と信仰を混同させた」との批判が出ている。ネタ二ヤフ首相は年内にグアテマラを訪問すると明らかにした「」。
パレスティナ解放機構(PLO)は直ちに、グアテマラに「対抗措置」をとるよう、アラブ諸国に呼び掛けた。
16日の式典には両当事国のほか、以下の31カ国の出席が確認されている。
アルバニア、オーストリア、チェコ、ジョージア、ハンガリー、マケドニア、ルーマニア、セルビア、ウクライナの欧州9カ国。
アンゴラ、カメルーン、コンゴ、コンゴ民主共和国、コートジボアール、エチオピア、ケニア、ナイジェリア、ルアンダ、南スーダン、タンザニア、ザンビアのアフリカ12カ国。
フィリピン、ミャンマー、タイ、ヴェトナムのアジア4カ国。
ドミニカ共和国、エル・サルバドール、ホンジュラス、パナマ、ペルー、パラグアイのラ米6カ国。
パラグアイも今週中に大使館をエルサレムに移転させる。任期切れ間もないオラシオ・カルテス大統領が決めたものだが、マリオ・アブド=べニーテス次期大統領は「相談を受けていない」を不満を漏らしている。
ホンジュラスは国会が4月12日、移転を59対33で可決、政府に決定を任せている。同国でも勢力を張る福音派は「移転すれば経済援助が来て豊かになる」と盛んに誘い水をかけている。
4月末にはカリブ海に近いグアテマラ国境沿いの巨大なマヤ遺跡のあるコパーンに、イスラエルと米国が総額1億5000万ドルの資金と技術を援助した地熱発電所が完成。フアン=オルランド・エルナンデス大統領が開場式に出席した。
移転決定は時間の問題と見られている。
これらラ米3国に共通するのは、大統領の脛に傷があること。G国のモラレスは大統領選挙時の選挙資金に麻薬マフィアから献金を受けたとして米司法当局から告発されている。
エルナンデスは昨年末の大統領選挙で不正によって再選を果たした。これは誰もが知る事実。米政府はいち早く再選を支持、そんのカードを今生かそうとしている。
パラグアイのカルテスは大統領になる前、麻薬取引に関与。米国は証拠を握っている。そのカードが今切られた。この国でも福音派の活動が目立っている。
一方、米大使館の移転に際しパレスティナのガザ地区で発生した、イスラエル軍の過剰攻撃で60以上が殺された重大事件に関し、ラ米ではベネズエラ、ボリビア、ウルグアイ、エクアドール、チリ、コスタ・リカが非難。他の諸国も移転する意思は示していない。
イスラエルと国交がなく、トランプ米政権の「北風政策」に遭っているキューバは当初
沈黙していたが16日、外務省が声明でイスラエルを厳しく非難した。またハバナに本部を置く国際第3世界連帯機関「アジア・アフリカ・ラ米3大陸人民連帯機構」(OSPAAAL=オスパアル)もイスラエルの行為を糾弾した。
ラ米諸国のカトリック教会は、福音派の進出に危機感を募らせる一方だ。