2011年12月3日土曜日

イエズス会士虐殺事件で引渡要求へ

▼▽▼スペインの法廷は12月2日、同国政府に、サルバドール人軍人15人の身柄引き渡しを要求するよう、要請した。

    エル・サルバドール(ES)内戦中の1989年11月16日、同国首都サンサルバドール市内にある中米大学(UCA=ウカ)で、イグナシオ・エジャクリーア学長らスペイン人イエズス会士5人が虐殺された事件の容疑者として。

    法廷は今年5月30日、同15人を含む容疑者20人を起訴した。15人のうち、事件当時の国防相ラファエル・ラリオス退役将軍ら13人の引渡しはES政府に対して、他の2人は居住地米国の政府に対して要求する。

    この事件では、サルバドール人会士1人、同女性従業員ら2人も殺されている。内戦中の最も凄惨な事件の一つとして記憶されている。

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    私は1990年代に入ってから、UCAの事件現場を訪ねた。軍によって数十人単位で虐殺された農民らの遺体が投げ込まれた<集団墓>跡や、考古学者らによる白骨遺体の発掘現場を連日取材していた時のことだった。UCAの現場でも他の殺害現場跡でも、ただ首(こうべ)を垂れるしかなかった。

(2011年12月2日 伊高浩昭執筆)