共同通信の舟越美夏は優秀な記者である。「集団の一員として行動してはいけない。集団を信じるな」-戦中派の父の教えは、「集団の狂気」が渦巻いたポル・ポト時代のカンボジアの悲劇への取材の眼を開かせた。
2001年にプノンペン支局に赴任した著者は、ヌオン・チア、イエン・サリ、キュー・サムファンらポト派幹部たちに次々にインタビューする。それをまとめたのが本書(毎日新聞社刊)だ。
ペルー共産党分派の農村ゲリラ「センデロ・ルミノソ(輝く道)」の最高指導者アビマエル・グスマンは、毛沢東思想とポル・ポト派の影響を受けていた。この本を読むと、その意味がよく分かる。
これ以上は書くまい。多くの人に読んでほしい。