グアテマラで3月19日から、内戦時代の1982~83年、16回にわたって先住民イシレス人計1771人を虐殺した罪で、当時の軍政独裁者エフライーン・リオス=モント被告と、その諜報機関責任者だったホセ・ロドリゲス被告に対する裁判が続いている。
その法廷で4月3日、元陸軍工兵部隊所属ウーゴ・レジェスが証人としてビデオ証言し、作戦名「ティト・アリアス少佐」(本名オットー・ペレス=モリーナ)の命令で虐殺が行なわれたと証言した。この本名の人物は現大統領であり、大きな波紋が広がっている。
証言によると、キチェー県サンタマリーア・ネバフのエル・ピノ陸軍駐屯地に、捕えられ連行されてきたイシレス人農民たちが拷問され虐殺された。同駐屯地の司令官は「ティト・アリアス少佐」だった。
殺されたイシレス人のほとんどは、ゲリラのように夜間山道を歩いていたのではなく、自宅に居る所を捕えられた。拷問で舌を抜かれた者もいた。兵士は殺した相手の首を切り取り、サッカーボールのように蹴ったこともあった。証言者は当時、同駐屯地に機械技術担当の兵士として配属されていた。
この証言に対し、大統領ペレス=モリーナは「嘘だ。サーカスにこれ以上言及することはない」と否定し、切り捨てた。だが「ティト・アリアス」という作戦名を使っていたか否かについては、言及を拒否している。
ペレス=モリーナが内戦時代に虐殺事件などに関与したというのは、グアテマラでは「公然の秘密」だが、今回のように具体的な証言が法廷でなされたのは初めて。大統領の少佐時代の映像や写真がインターネットで盛んに流されており、これを人々は虐殺事件と関連付けて見ている。
レジェス証人は司法機関によって保護されており、ビデオ証言となった。