中心を占めるのは、極右上院議員ジョセフ・マッカーシーらによる<赤狩り>でハリウッドを追われた不遇時代の苦闘ぶりだが、ダルトンは苦境をばねに書き続けた。
「ローマの休日」、「黒い牡牛」、「スパルタカス」、「栄光への脱出」、「ジョニーは戦場に行った」、「パピヨン」など、話題作、ヒット作は数知れない。
訳者・松枝愛は、翻訳中にロサンジェルスに行き、著者ハンソンに会見した。この訳者にとって本書は3作目だが、前2作とも著者や著者の遺族に会い、内容に出てくる土地を訪ねている。これが、この訳者の作風だと言える。
特に映画好きや、マッカーシズムに関心のある者には格好の一冊だ。