前のキューバ駐在大使、西林万寿夫氏が『したたかな国キューバ』(アーバン・コネクションズ社刊)という興味深い本を出した。著者は巻末に、2009年3月から12年9月までの3年半の駐在時代の「回顧録」だと記しているが、ベテラン外交官、それも大使ならではの考察や体験が語られており、貴重な情報がちりばめられている。
「米国が1982年以来、キューバをテロ支援国家に指定しているのは全くおかしいのではないか。そもそもキューバにはテロを支援する力は残っていない」とズバリ切り込むなど、幾つかある意見の表示も価値がある。
外交官の任務を絶えず心に銘記し、いかに日本の存在をキューバ側に印象付けるかで腐心する職業意識は好感が持てる。
これから何本か、この本の書評を書くが、キューバに関心を持つ多くの人々に一読をお勧めしたい。