クーバのラウール・カストロ国家評議会議長は12月29日、人民権力全国会議(ANPP、国会)の年末会期閉会演説で、クーバ経済は今年4%成長したが、来年は資金確保の難しさなどから成長予測は2%に留まると述べた。外国人観光客350万人が今年来訪したことも指摘した。
外交関係で議長は、LAC(ラ米・カリブ)の進歩主義政権防衛の必要性と、LAC協和機関としてのラ米・カリブ諸国共同体(CELAC)防衛の必要性を強調した。
ニコラース・マドゥーロ大統領施政下のベネスエラの主権防衛の闘いへの連帯、および同国革命政権の公約が引き続き守られることへの期待を表明した。(これは特にベネスエラ原油の対玖供給維持への期待を意味する。)
ラウールはまた、ブラジル国会でのヂウマ・ルセフ大統領弾劾の動きを糾弾、同大統領への連帯を確認した。(クーバ経済浮揚の鍵となるマリエル開発特区=ZEDM=建設の資金と工事はブラジルが担っている。)
ハバナ交渉でコロンビア政府とFARCが3月実現を目標に9月和平合意したことについては「実現を楽観している」と語った。中米で大問題になっているクーバ経済難民にも触れ、彼らは合法的に出国したが、その後、不法越境業者(コヨーテ)の犠牲になったと指摘。問題の根底に米国の「キューバ調整法」があると批判した。
2015年に世界184カ国から使節団が来訪したが、うち25カ国からは首脳が来たと、外交の隆盛に触れた。7月に復交した対米関係の正常化深化には、対玖経済封鎖解除とグアンタナモ米海軍基地返還が不可欠だと、改めて強調した。議長はまた、クーバ体制転換を目指す米政府を念頭に、「クーバが主権と尊厳を守るため独立と諸原則を失うことはありえず、失わせようと画策してはならない」と、新たに釘を刺した。
議長は今年のオランド・フランス大統領来訪への答礼として来年2月、公式に訪仏することを明らかにした。クーバは今年、欧州連合(EU)との関係修復も果たし、パリクラブは対玖債権利子分を免除した。
ASPPは、26日の玖共産党第12回中央委員会全体会議が討議しまとめた「玖社会主義発展のための経済社会モデル概念化」、2016年経済計画・歳出予算、第1回共産党全国会議採択の労働目標達成報告などを審議し、採択した。
マリーノ・ムリージョ副首相兼経済・企画相は「経済計画・歳出」報告で、16年経済計画予算の58%に当たる78億4100万ペソ(約3億2000万米ドル)は投資に向けられるとし、優先分野は観光、エネルギー、石油、農牧、干害・灌漑対策、電気通信、生物工学、ZEDMと述べた。
国会はまた、2016年を「革命58年目の年」と命名した。