2015年12月22日火曜日

激しいやりとりを経て、メルコスール首脳会議閉会

 アスンシオンで12月21日開かれた南部共同市場(メルコスール)の第49回首脳会議は同日、共同声明を発表して閉会した。声明は、地域統合促進、太平洋同盟(AP、チレ、ペルー、コロンビア、メヒコ)との協力関係強化を謳っている。

 声明はまた、アスンシオンで2005年に調印された「人権促進・擁護規約議定書」を祝福。「自由が発展と統合に不可欠の要素」指摘した。さらに、パラグアイ、ボリビアの両内陸国に大西洋、太平洋への接近路建設などの便宜を図る配慮を盛り込んだ。

 このほか、玖米復交を祝福し、米国に対玖経済封鎖解除を求めた。シリア内戦にも触れ、政治解決を呼び掛け、難民への連帯を表明した。半年交代の輪番制議長国は、パラグアイからウルグアイに移った。

 声明採択に先立つ首脳会議では、議長を務めたパラグアイのオラシオ・カルテース大統領が演説で、「共同市場実現という初期の理想に戻ろう」と訴え、関税障壁が依然80もあると指摘した。

 ブラジルのヂウマ・ルセフ大統領は、欧州連合(EU)との自由貿易協定(FTA)交渉促進や、コロンビア、クーバなどとのFTA交渉を手掛けるよう求めた。

 首脳会議初参加のマウリシオ・マクリ亜国大統領は、ベネスエラに「政治囚釈放」を要求、同国に「民主促進」を、国会議員選挙で勝った同国野党陣営に「慎重さ」を求めた。

 これに対し、ベネスエラ大統領代行のデルシー・ロドリゲス外相は、「マクリ大統領、あなたは内政干渉しています」と切り返し、獄中にいるベネスエラの極右政治家が昨年カラカスで街頭暴動を煽った首謀者だった事実を強調、テロリズム加担者を釈放しろというのかと激しく詰め寄った。

 また、マクリ政権が亜国「五月広場の母たちの会」のエベ・デ・ボナフィニ会長を法的に追及している事実を挙げ、「二重基準だ」とマクリを批判した。

 同外相は、「マクリが就任早々、投獄されてきた亜国軍政期の人権犯罪責任者らを恩赦する政令を発した」と述べ、マクリを攻撃した。だが、そのような政令を発した事実はなく、亜国側は事実でないと反論した。

 外相は、暴動扇動の政治家が「政治囚」と意図的に宣伝され報道されてきた状況を逆手にとって、亜国大統領の施政に関し「意図的に政令発言をやってのけたのではないか」と解釈えきる。

 「加盟過程にある国」という資格を持つボリビアのエボ・モラレス大統領は、「域外からの資源価格操作などからラ米・カリブを守るため、多民族大陸国家を創設しよう」と訴えた。

 協賛国チレのミチェル・バチェレー大統領は、「チレは1996年に最初の協賛国になった。チレの対外投資の48%(400億ドル)はメルコスール向けだ。チレのメルコスールとの貿易は昨年700億ドルに達し、チレにとり第4位の貿易相手になっている」と述べた。

 新議長国ウルグアイのタバレー・バスケス大統領は、「(EUだけでなく)他の経済ブロックとの対話を進める」と抱負を語った。
 
 首脳会議には、協賛国ガイアナのモーゼス・ナガムートゥー首相も出席した。