現代の岩窟王オスカル・ロペス=リベーラ(74)が5月17日、36年間服役の後に自由に身になった。米植民地プエルト・リコ(PR)人のロペスは、米軍兵士としてヴェトナム戦争従軍後、1976年にPR独立主義の「人民解放軍」(FALN)に参加。組織の破壊活動に直接関与しなかったが、81年逮捕され、禁錮55年の判決を受け、幾つもの米国内の刑務所で服役した。
91年に脱獄未遂で刑期に15年が加算された。ビル・クリントン大統領は恩赦を持ちかけたが、ロペスは拒否。だがバラク・オバーマ大統領が任期切れ直前の今年1月17日恩赦を決めた。ロペスは米国の刑務所から2月9日PRに身柄を移され、実の娘クラリーサの自宅で軟禁処分となった。恩赦から4カ月後の今日、刑期は終わった。今後は島都サンフアンの市役所で仕事する。
ロペスは支援者による自由記念音楽会に出席後、浜辺の波打ち際で、「PRの脱植民地と独立に向かって進もう。重要なのは連帯して働き戦い抵抗することだ」と強調した。また、窮地にあるPR大学について、「頭脳流出を食い止めよう。大学を守らねば、PRの未来はない」と述べた。さらに、新自由主義経済路線を糾弾した。
同胞として迎えてくれた故郷については、「これぞ、PRの寛大な心だ。大きな愛のある人民だ」と、PRとPR人を賞賛した。
ベネスエラのニコラース・マドゥーロ大統領はロペスと電話会談し、それをテレスールが中継した。大統領は、「大なる祖国の英雄」とロペスを讃え、「我々は国内からの攻撃とメディアによる私刑の犠牲者だが、シモン・ボリーバルの人民はチャベス司令官の旗を掲げ、意気軒昂として勝利する」と伝えた。
ロペスは、「私はPR人だが、ベネスエラ人のようにも感じる。ベネスエラの未来を決めるのはベネスエラ人であり、米国を含むいかなる他者でもない。ベネスエラが勝つと信じている。米国は思い通りにはいかないだろう」と返した。
マドゥーロは、ベネスエラが非同盟運動の議長国で、国連非植民地委員会の委員長国であることに触れて、「両機関を通じても、PRの尊厳と未来のために尽力する」と約束した。「我々の大陸(ラ米・カリブ)の独立は、ベネスエラでの戦いに懸かっている」とも強調した。
ベネスエラのデルシー・ロドリゲス外相も、ロペスを「PRの真実が勝利した。米国の覇権から自由な大なる祖国の勝利だ」と祝福。さらに、「米国は人権で二重基準だ。ロペスは、そこに囚われていた現代世界最長の良心の囚人だった」と指摘した。
ニカラグア、クーバをはじめ、ラ米のロペス支援国・支援団体もロペス開放を祝福している。