2018年5月15日火曜日

 米州諸国機構(OEA)の反マドゥーロ陣営「リマグループ」がベネズエラに20日の大統領選挙中止を「最後通牒」として要求▼背後に「軍事的選択肢」含むトランプ米政権の影▼ALBAが米政権による不安定化工作を糾弾▼ベネズエラでは選挙態勢整う 

 ベネズエラのニコラース・マドゥーロ大統領の再選を阻止し、マドゥーロ政権打倒を目指す米州諸国で構成する「リマグループ」(グルーポ・デ・リマ=グリマ)は5月14日、ベネズエラ政府に対し、20日実施の大統領選挙を「合法性に欠ける」として中止を要求した。

 グリマはメキシコ市での外相・蔵相会合でベネズエラ問題を話し合い、「これが最後の申し入れだ」として選挙中止を要求した。
 米国が強大な影響力を持つ米州諸国機構(OEA、34カ国加盟)の保守・右翼陣営は、重要決定が全会一致制のため、VEN締め付け決議にことごとく失敗。そこで反マドゥーロ有志連合としてグリマを結成した。リマ市で結成されたため、グリマと呼ばれる。

 米政府は、反マドゥーロ有志連合の決議を受けてベネズエラに軍事侵攻する選択肢を重視している。マイアミに司令部を置く米南方軍の侵攻作戦計画が暴露されたばかりだ。

 加墨グアテマラ・ホンジュラスCR巴コロンビア秘智パラグアイ亜伯ガイアナ・セントルシーアの14カ国が加盟。米国は意識的に黒子として根回し役に回っている。
 セントルシーアは、ベネズエラが盟主の「我らのアメリカ・ボリバリアーナ同盟ー人民通商条約」(ALBA-TCP、通称ALBA=米州ボリバリアーナ同盟)にも加盟しており、ベネズエラ政府にとり「情報源」になりうる立場にある。
 域外からは、マリアーノ・ラホーイ右翼政権のスペインがオブザーバー的立場でグリマ会合に参加することがある。14日には参加した。

 キューバ以外の34カ国が加盟するOEAでグリマに加盟していないのは、「形式的不参加」の米国と、エル・サルバドール、ニカラグア、ハイチ、ドミニカ共和国(RD)、ベネズエラ、エクアドール、ボリビア、ウルグアイ、スリナム、およびジャマイカ、TTなどカリブ英連邦10カ国。

 構図化すれば、マドゥーロ政権をめぐる米州地図は、反対派がグリマ14カ国+米国、非反対派が19カ国+キューバということになる。グリマのセントルシーアは「鵺的存在」だ。

 一方、ALBAのダビー・チョケウアンカ事務局長(前ボリビア外相)は14日ハバナで、「LAC(ラ米カリブ)のベネズエラ、ボリビア、ニカラグア、キューバなど進歩主義政権に対する米政府の内政干渉は受け入れられない」と、米政府を糾弾した。
 「進歩主義諸政権の社会政策を不安定化させようとしているトランプ米政権の国際十字軍は到底受け入れられない」とも述べ、グリマを暗に非難した。

 ニカラグア国家選挙理事会(CNE)のティビサイ・ルセーナ理事長は14日カラカスで記者会見し、「選挙態勢は整った」とし、全国1万4638投票所(3万4143投票箱)の用意が完了したことを明らかにした。
 理事長はまた、保守・右翼野党連合(旧MUD)などが棄権を呼び掛けているのに触れ、「違法行為であり、逮捕を含め取り締まる」と警告した。