2012年1月11日水曜日

オルテガ・ニカラグア大統領が新任期就任式

▽▼▽ニカラグアのダニエル・オルテガ大統領(66)が1月10日、任期5年の新任期に入り、首都マナグアで就任式が挙行された。昨年11月6日の選挙で、得票率62%強で連続2選を果たした。1980年代の政権担当期を加えると、3期目となる。

    式場の革命広場は、赤黒2色の党旗を掲げる政権党「サンディニスタ民族解放戦線(FSLN)」の党員代表8000人が埋め尽くした。「ニカラグア、ニカラギータ」の歌が流れた。正面には、米軍と戦って勝利しながら陰謀で暗殺されたアウグスト・サンディーノ将軍と、FSLN創設者で殺害されたカルロス・フォンセカの肖像が掲げられた。

    オルテガは90分の就任演説で、「新任期もキリスト教、社会主義、連帯を基盤に、貧困と闘い、福祉に努めていく」と強調した。また、「我が政権では人民が大統領であり、野党は人民権力を恐れるべきではない」と述べ、就任式を無視した多くの野党議員らを牽制した。

    大統領は、傍らのイランのマハームド・アフマディネジャド大統領を見やりながら、「核兵器の対決を含む戦争の脅威が増幅している地球で、正義・尊厳・愛・連帯を伴う平和の構築のため闘う」、「イランは陰謀の犠牲者だ。(核開発疑惑でなく)石油が潤沢だからこそ狙われいる。イラクも同じ理由で侵略された」と述べた。

    さらに、「イスラエルの核武装が注目されないのは不可解だ。アフマディネジャド大統領は、イスラエルの核廃棄を要求すべきだ」と強調した。昨年のリビア最高指導者カダフィ大佐の死に触れて、「あの残虐な死は、犯罪だ」と非難した。

    隣席の、ベネズエラのウーゴ・チャベス大統領を念頭に、「ベネズエラは自国、地域、世界の人民のまっとうな暮らしのために闘ってきた」と称賛した。チャベスは年間5億ドルの援助をオルテガ政権に与えている。

    スペインのフェリーペ皇太子に対しては、「ニカラグアとスペインの政権交代でどのような政権が登場しようと、スペインは一貫してニカラグアに連帯し協力してきた」と謝意を表明した。

    経済開発については、「地球上に居場所がなくなった野蛮な資本主義に代わる、連帯と正当性のある経済モデルが必要だ」と指摘した。

    中米で深刻な問題となっている麻薬取引に触れて、「中米は国際麻薬取引の犠牲者だ。先進諸国は、麻薬消費を取り締まるべきだ」と、最大の麻薬消費国・米国をも念頭に、麻薬消費摘発に尽力するよう呼び掛けた。

    就任式には、ベネズエラ、イランのほか、グアテマラ、エル・サルバドール、ホンジュラス、ハイチ、スリナムの大統領が出席した。キューバ、ボリビア、ペルー、ドミニカ共和国は副大統領・副議長が出席した。台湾からは外交部長、日本からは山根隆治副外相が出席した。

    関係が悪化している隣国コスタ・リカからは、外務省儀典局長が出席し、米国はマナグア駐在の大使館員が出席したもよう。パナマからは外相と、マルティン・トリホス前大統領が出席し、14日に就任するグアテマラ次期大統領オットー・ペレス=モリーナ退役将軍も出席した。