☆★☆アルゼンチンのクリスティーナ・フェルナンデス=デ・キルチネル(CFK)大統領は2月7日、首都のカサ・ロサーダ(大統領政庁)で、与野党国会議員、州知事、外交官、労組幹部、元軍人らを前に演説した。英国の植民地となっているマルビーナス諸島(英国名フォークランド諸島)など南大西洋3島嶼地域の領有権の平和的奪回を大義として強調し、今年前半、国連を中心に大義を力強く訴えていく方針を明らかにした。
1982年4月2日にM諸島などの領有権奪回のため英国に戦争を仕掛けた亜国軍政は、同年、開戦原因などを分析する「ラテンバッフ報告」を作成した。だが軍政に厳しい内容であることから、極秘書類として保管されてきた。
83年に民政移管が実現すると、雑誌が「報告」全文を掲載するなど、内容は既に秘密ではなくなっている。だが歴代の文民政府は、極秘扱いを解除していなかった。
CFKは演説で、極秘扱いを解除した。これは、政府が公式に「報告」の存在を認め、内容を亜国人に広く知らしめる必要性があると判断したことを示す。
大統領はまた、「報告」内容を分析する特別委員会の設置を決めた。委員会は30日以内に、分析結果を大統領に報告する。
CFKはさらに、この領有権問題を英国との外交交渉で解決すべく、国連の安保理、総会、非植民地化委員会を中心に訴えていく、と述べた。
M戦争を戦った亜国軍士官・兵士らには、精神の病に苦しむ者が少なくない。大統領は、彼らのために病院を開くと明らかにした。
一方、英政府は8日、CFK演説を受けて、「F諸島住民が亜国との交渉を臨めば、英政府は交渉に入る」と、従来の立場を繰り返した。
4月2日の開戦30周年記念日を前に、亜英間で外交的緊張が高まっている。キャメロン英政権は2月初め、F諸島で大掛かりな軍事演習を開始した。3月半ばまで続くが、英主権を象徴する王子(皇太子の長男)も空軍尉官として参加している。