クーバ革命の「悲劇の英雄」ウベール・マトス(95)が2月27日、心臓発作により亡命地マイアミで死去した。
マトスは、教師をしていた1950年代後半、反独裁闘争の地下活動に参加、57年コスタ・リーカに亡命した。
当時のCR大統領ホセ・フィゲラスから贈られた武器を満載した輸送機で58年、クーバ東部のマエストラ山脈近くに帰還、フィデル・カストロ率いるゲリラ部隊の武器補給に貢献した。
マトスはゲリラ部隊に入り、頭角を現す。やがて縦隊司令官になって、サンティアゴ攻略作戦で戦功を挙げた。
59年元日の革命勝利後、カストロに眼をかけられたが、穏健な社民主義者マトスはカストロ兄弟と合わず、離反していく。
マトスは、革命指導部でフィデル、チェ・ゲバラと並ぶ数少ない知識人だったこともあって、知的、思想的な対立が避けられなかった。
59年10月逮捕され、裁判で「反逆罪」となり、79年10月まで禁錮20年の実刑に服役した。その後CRに去り、次いでマイアミに移った。
2002年に自伝『夜はいかにして訪れたか』を出版し、カストロ体制の裏面を暴いた。カストロは59年1月のハバナ入城時、左横にマトスを伴っていたが、その歴史的写真からもマトスの姿を消しさった。
遺骨は、遺言によりCRの地に還る。