メヒコ南部のゲレロ州内で11月27日、首のない11人の遺体が道路脇に放置されているのが発見された。年齢は20~25歳。一部の遺体は焼かれた跡があった。地元紙は写真付きで報じ、社会に衝撃を与えている。
発見現場は、9月末、師範学校生43人が拉致された地域。殺害に関与したと見られる麻薬マフィアが、敵対する麻薬マフィアに当てたメッセージが残されていた。
43人はイグアラ市警が拉致し、「ゲレーロス・ウニードス」というマフィアに引き渡した。同マフィアの殺し屋十数人が43人を殺害した可能性が濃厚だ。
43人の一部の遺体は先ごろ発見されており、現在オーストリアの法医学所でDNA鑑定作業が行なわれている。
一方、エンリケ・ペニャ=ニエト大統領は、11人の遺体発見直後の27日、腐敗の著しい全国の市警を廃止し、32州ごとに州警察として一本化する改憲案を12月1日、国会に提出すると発表した。
大統領は事件への対応が遅く、43人の家族や多くの支援者から大統領辞任を求める声が出ている。窮地に陥ったため、唐突ながら改革政策を打ち出さざるを得なくなったのだが、有効性には疑問が出てくるだろう。
大統領はまた、犯罪への関与が明白になった市政の権限を中央政府が代行するか、市政を交代させるかする法案も提出する。
さらに全国規模の行方不明者捜索機関とDNA鑑定所を新設する法案も出す。この司法改革政策を打ち出す直前に11人の遺体が見つかったことで、大統領は一層厳しい立場に追い込まれた。