コロンビアのJMサントス大統領は1月15日、ゲリラ民族解放軍(ELN)の戦闘員として1966年2月15日戦死したカミーロ・トーレスの遺体捜索を命じた。大統領は、ELNが今年初め要請したのを受け、内戦終結政策の一環として決定した。
トーレスは裕福な家庭の出身で、カトリック神父になったが、「解放の神学」を支持、<革命の神学>に転じて65年ゲリラとなった。サンタンデル州サンビセンテデチュクリー市内の山中で陸軍巡視隊への待ち伏せ攻撃に参加し、兵士に射殺された。36歳だった。
サントスは同市で遺体発掘作業開始を国防相に命じた。検察庁と法医学庁が作業を担当する。
一方14日、首都ボゴタにある最高裁判所で1985年11月6日起きたゲリラ「4月19日運動」(M19)による襲撃占拠事件に巻き込まれ、突入した陸軍部隊によって殺害され遺体を隠された市民12人のうちの一人、マリーア・モンドルの遺骨が遺族に返還された。
モンドルは当時45歳の判事補だった。事件は軍隊の突入により7日まで続いた戦闘の際、行方不明となった。後に遺骨が見つかり、DNA鑑定により身元が判明した。
陸軍は、最高裁制圧作戦の目撃者の抹殺を謀った。この事件では軍の退役高官たちが起訴され、昨年12月にも元大佐と元少佐が禁錮40年の実刑判決を言い渡された。
最高裁事件時の戦闘では、長官を含む判事11人をはじめ弁護士、職員、およびM19要員ら115人が死亡、多数の重軽傷者が出た。
事件は当時の麻薬王パブロ・エスコバルが、麻薬事件の捜査記録や麻薬犯身柄引渡に関する書類を焼き尽くし、最高裁長官を殺害するため計画、M19に実行を請け負わせた。
事件時の「失踪者」の身元確認と遺骨返還および責任者断罪も、内戦終結政策の一環だ。