ベネスエラは4月23日、比較的平穏な日曜日を迎えた。ニコラース・マドゥーロ大統領はテレビの日曜定例番組で、「我々は対話の用意がある。右翼の暴力と、極右のゴルペ主義(クーデターの策謀)を止めさせるため」と述べ、保守・右翼野党連合MUDに対話を呼び掛けた。MUDは24日、首都カラカスをはじめ全国の主要道路で「立ち番(監視活動)」を展開する予定。
大統領はまた、「我々は内戦に向かってはいない。人民革命という歴史的で新しい解放過程を進んでいる。革命の下での平和を目指している。ベネスエラに平和なくして、ラ米に平和はない」と強調した。
マドゥーロは、「労農・先住民で構成する人民制憲議会を通じて共和国を再建するため、選挙による平和裡の人民制憲過程を推進する。私は政府首班、国家元首として、選挙を実施したい」と語り、州知事・州会議員選挙を実施する意志を示した。
さらに、「破壊活動に駆り立てている野党議員らを、エル・バージェ地区での略奪や母子病院襲撃の責任者として司法に委ねたい」と述べた。また「ミランダ州と首都カラカスで暴徒に破壊され略奪された50軒の店舗・商店に計180万ドルの救済資金を渡した」と明らかにした。暴徒の多くは、破壊活動を働くMUDの別働隊。
大統領は、ローマ法王による対話の仲介を希望。JLRサパテーロ前スペイン首相ら南米諸国連合(ウナスール)の仲介使節団3人の来訪を要請した。
政府の貧困大衆向け住宅政策に触れて、既に160万戸を建設したが、年末には200万戸に到達したい、と述べた。
政府支持派は23日、エル・バージェ地区など、暴徒による破壊活動がひどかった地区で掃除、バリケード撤去、瓦礫除去、植樹などの活動を繰り広げた。
ネストル・レベロール内相は、19日に反政府側がビルの上層部から意図的に落とした瓶で頭部を割られた47歳の女性が23日死亡した、と発表した。非公式集計では、4月初めからのMUDによる反政府街頭行動関係の死者は21~22人に達した。
コロンビア極右勢力の旗頭、アルバロ・ウリーベ前大統領は、「マドゥーロを排除すべき時だ」と表明した。リカルド・ルーナ秘外相は、法王庁とラ米有志諸国がベネスエラ対話の仲介者となるべきだ、と提案した。
一方、国際通貨基金(IMF)はベネスエラの経済指標に触れ、今年のインフレを2068%と予測。経済は昨年18%縮小したが、今年7・4%、来年4・1%、それぞれ縮小すると展望した。失業率は昨年21%だった。
▼ラ米短信 ◎亜国で軍政に奪われた「赤子」を発見
アルヘンティーナ軍政期に息子・娘を殺害され孫を奪われた祖母たちの「五月広場の祖母たちの会」は4月23日、「孫を見つけた。これで122人め」と発表した。目下、法的手続き中。まだ400人前後の「元赤子」が見つかっていない。
1977年にブエノスアイレス市内で軍政に拉致され殺害された男女の娘で、現在39歳。殺された両親は、ペロン派極左地下結社「モントネロス」の要員だった。母親は赤子を産むとすぐに引き離され、抹殺された。