2017年4月13日木曜日

 東カリブ諸国首脳会議にマドゥーロ・ベネズエラ大統領が出席、連帯への謝意を表明。本国では最近の一連の街頭暴力事件で計5人が死亡。政府は「破壊活動分子による撹乱」を糾弾。トランプ米大統領は月末ワシントンでアルゼンチン大統領と会談すると発表

 東カリブ諸国機構(OECS)の第64回首脳会議が4月12日、セントヴィンセント&グラナディーン(SVG)の首都キングズタウンで開かれた。招待され出席したベネスエラのニコラース・マドゥーロ大統領は、加盟諸国・地域から寄せられた連帯への謝意を表した。

 これに対し、セントクリストファー&ネヴィス(SCN)のティモシー・ハリス首相は、ベネスエラによるOECS諸国への援助に謝意を表明した。会議に先立ち、マドゥーロ大統領はSVGのラルフ・ゴンサルヴェス首相の案内で、ベネスエラの援助で完成した同国東島新空港を視察した。

 OECSは1981年設立、セントルシーアの首都カストリーズに本部がある。カリコム(カリブ共同体・共同市場)と連携し、地域統合・開発を目指す。SVG、SCN、アンティグア&バーブーダ、ドミニカ、グレナダ、セントルシーアの英連邦6カ国と英領モンセラトが加盟。協賛島として英領アンギラ、英領ヴァージン諸島。

 マドゥーロ大統領は12日帰国、カラカスで、11日に卵を投げつけられた事件について、「反政府分子による待ち伏せ攻撃だった。カラカスなどで破壊活動分子が逮捕されている」と述べた。

 ララ州都バルキシメトでは11日の保守・右翼野党連合MUDによる反政府行動のさなか、12人が銃弾を受けて負傷、うち3人が12日までに死亡した。これで今回の一連の反政府行動での死者は計5人となった。

 ララ州のヘンリ・ファルコーン知事は、極右武装勢力が群衆の中に紛れ込んで攻撃している、と非難している。既に約50人が逮捕されている。

 カラカス市内には地下鉄5路線があるが13日、5路線にまたがる計28駅が閉鎖された。地下鉄と連携する路線バスのメトロブスとブスカラカスは終日休業した。これはMUD指揮下の反政府勢力が同日、動員をかけていたため。

 政府側は18、19両日、カラカスで大動員をかける。18日は、故ウーゴ・チャベス前大統領が2010年に民兵隊(MNB)を創設した記念日で、民兵部隊が行進する。その200年前の1810年4月19日は、ベネスエラ政界がスペインに対し、独立闘争を開始した日。いずれもチャベス派政権にとって重要な記念日だ。

 反政府勢力も19日に大動員をかける予定。今は聖週間だが、首都大聖堂などでのミサのさなかに両派の信者らが罵り合い、にらみ合う不穏な空気となっている。

 一方、ドナルド・トランプ米大統領は11日、マルリシオ・マクリ亜国大統領を27日ワシントンに招き、ベネスエラ情勢を含め話し合う、と明らかにした。米軍がシリアを攻撃し、北朝鮮近海に空母艦隊を急派しつつある時だけに、ベネスエラや支援国は、この米亜首脳会談を警戒している。