ベネスエラの米州諸国機構(OEA)担当臨時代理大使カルメン・ベラスケスは4月28日、ワシントンのOEA本部でルイス・アルマグロ事務総長に書面で、OEA脱退を正式に通告した。脱退までには手続き上、2年かかる。その間ベネスエラは加盟国としての資格を維持するが、ニコラース・マドゥーロ大統領は、OEAと一切縁を切ると言明している。
ベネスエラ外交の重鎮で前OEA駐在大使のロイ・チャデルトンは、「OEA諸国は自らの国内問題を覆い隠すためベネスエラに私刑を加え、内政干渉原則を裏切る過ちを犯すという自殺行為をしている。ベネスエラ断罪は米帝国主義の弱さの表れだが、OEAは米国を排除するなどの矯正策なくしては滅びるだろう」と述べた。
反政府勢力の指導部であである保守・右翼野党連合MUDは28日も街頭行動を続け、14年2月の街頭暴力(グアリンバ)教唆罪で服役中の極右政治家らが収監さてているミランダ州内のラモ・ベルデ軍事刑務所前まで到達した。同州知事カプリーレスがMUD幹部であるため、可能だった。
抗議行動には平和行進しない大学生若者らの別働隊が破壊活動、投石、暴力行為を続けており、取締りの治安部隊と衝突を繰り返してきた。4月初めからの街頭暴力、破壊、略奪事件で、略奪中に感電死した8人を含め、29人が死亡している。
MUDは、内外メディアの支援を得て、「街頭暴力加害者を政府、被害者をMUD側」に仕立てる虚偽キャンペーンを展開している。バルガス州のガルシア=カルネイロ知事は28日、州内の抗議行動での覆面使用と暴力を禁止した。MUDの国会議員は直ちに、「州知事は州内での抗議行動を禁止した」と虚偽情報を発信した。
揚げ足をとれば、この議員は、MUDの抗議行動は別働隊の覆面と暴力と一体化している、ということにを認めたことになる。エルネスト・ビジェーガス伝達・情報相は28日、全国335市で街頭暴力をビデオに撮影する「暴力目撃コンクール」を開始すると発表、スマホなどの所有者に参加を呼び掛けた。
狙いは、MUD派の暴力のひどさを市民に認識させ、その証拠を掴むことだろう。コロンビア国境沿いのタチラ州も、暴力を伴う街頭抗議行動を禁止した。
デルシー・ロドリゲス外相は、5月2日サンサルバドールで開かれるCELAC(ラ米・カリブ諸国共同体)緊急外相会議の場で、ベネスエラの政治対話に関与するラ米・カリブ諸国集団を発表し、MUD側暴力を暴くと述べた。
マドゥーロ大統領は28日、「OEAは右翼諸国に統御されており、反ベネスエラの異端審問所と化した」と糾弾した。
ボリビアのエボ・モラレス大統領は、「ベネスエラはゴルペ(クーデター)状況にある。マドゥーロ大統領への辞任要求は、この国の民主終焉を意味する。アルマグロ事務総長の下でOEA諸国が陰謀者となっているのは嘆かわしい。OEAは左翼大統領へのゴルペの陰謀については議論しない」とOEAを厳しく批判した。
一方、米国務省広報官は、ベネスエラ脱退まで2年かかることを踏まえて、「OEA脱退か残留かを最終的に決めるのは次期大統領になる」と指摘した。
▼ラ米短信 ◎メヒコ学生強制失踪事件から27カ月
ゲレロ州イグアラ市でアヨツィナパ農村教員養成学校生43人が強制失踪させられてから4月26日で27カ月経った。事件はいまだに解決していない。この悲しい記念日に父母、支援団体ら400人が首都メヒコ市目抜きレフォルマ大通りを、検察庁前からフアレス大通りのフアレス廟まで行進した。
親たちは政府に、事件に関与した疑いの濃厚な陸軍、ウイツコ市警、地元市当局、麻薬組織などを捜査するよう要求している。検察庁は24日、この事件の強制失踪や殺害に関与した容疑で、ゲレロ州ウイツコ市を拠点とする犯罪組織「ウイツコ・ゲレロ」の首領ら2人を逮捕した。同組織とイグアラ市警との贈収賄癒着は明るみに出ている。
一方、メヒコ経済当局は27日、同国の今年第1四半期の経済成長は2・5%だったとし、「トランプ米政権の最初の一〇〇日間、メヒコ経済は生き延びた」と述べた。
▼ラ米短信 ◎ブラジルでゼネスト実施
ブラジル労連は4月28日、全国で24時間ゼネストを決行した。テメル政権の労働法と年金法の手直しに反対してのこと。昨年、「国会クーデター」で政権に就いたミシェル・テメル大統領は支持率10%、不支持率87%。失業率は13・7%(1420万人)。