ベネスエラのネストル・レベロール内相は5月5日、カラボボ州内で反政府勢力と連携・連動して暗躍する「組織犯罪集団45団体を特定した。逮捕状を執行する」と発表。武器不法所持、殺傷、破壊活動、略奪、暴行などの容疑で「刑事法廷と軍事法廷で裁く」と述べた。
スリア州ロサリオデペルハー市では、広場にあった故ウーゴ・チャベス前大統領の銅像が、反政府派の若者たちによって倒され、破壊され、燃やされた。私刑さながらの光景で、破壊された像は遺体のように路上に横たわった。
5日には、負傷していた若者2人が病院で死亡。一連の反政府行動での死者は37人に達した。政府と、保守・右翼野党連合MUDの双方は6日、カラカスでそれぞれ、支持派の女性を動員して行進する。相互に「対抗行進」(コントゥラ・マルチャ)となる。
制憲議会(ANC)担当のエリーアス・ハウア教育相は4日、大統領政庁(ミラフローレス宮)で、全国のコムーナ(コミューン)評議会の代表者たちと会合。ANC議員候補擁立、改憲条項草案策定などについて話し合った。
ハウアは8日には、MUD諸党代表との会合を予定しているが、MUDからの回答はない。来週にかけてハウアは、州知事、市長、宗派、大学学長、大学生、先住民、労農、経営者などの代表たちとの会合も予定している。国内の各階層・職能分野と広く意見を交換したうえで、ANC議員選挙を実施するためだ。
ララ州知事ヘンリー・ファルコン(MUD)は5日、ハウアとの会合に出席しないと逸早く表明した。ハウアは、「国内右翼勢力や米右翼はベネスエラが、あたかもリビアやシリアのような内戦状態にあるかのように国際世論に印象づけようとしてきた」と非難した。デルシー・ロドリゲス外相は、MUDに「暴力を止め、(ハウアとの)ANC会合に参加せよ」と呼び掛けた。
同外相は、フリオ・ボルヘス国会議長が前日ワシントンで、米州諸国機構(OEA)のルイス・アルマグロ事務総長に会い、マドゥーロVEN政権が通告したOEA離脱決定を覆すよう、国会決議を添えて要請したことに関し、外交は政府の権限であり、ボルヘスを越権行為により法廷で処分する、と語った。外相は、ボルヘスはアルマグロと組んで、ベネスエラへの外国の介入を促進している、と糾弾した。
アルマグロ(前ウルグアイ外相)の上司だったホセ・ムヒーカ前大統領は4日モンテビデーオで、「ベネスエラ情勢の反理性的過激化は右翼に利し、米国にトランプ政権がある今、極めて危険だ。ラ米人にとり特に危険なのは内政干渉という爆弾投下であり、アルマグロの行為はベネスエラのみならずラ米全体にとって危険だ」と、厳しく指摘した。
国会議長ボルヘスは5日ワシントンで、ベネスエラ政権に厳しいラ米・カリブ諸国のOEA駐在大使たちと会合。続いてホワイトハウス(米大統領政庁)でマイク・ペンス副大統領、ハーバート・マクマスター安保担当大統領補佐官とOEA離脱阻止をめぐって会談した。米政府のこの厚遇ぶりは、米国とMUDの政治的癒着を象徴している。
訪米中のエラルド・ムニョス智外相は5日、アルマグロと会談、「政治・外交交渉による事態打開を支持する」と伝えた。事務総長が固執する反マドゥーロ強硬路線とは距離を置く構えを示すものだ。
OEAはベネスエラ問題だけを話し合う特別外相会議を22日開催する見通し。アルマグロは、ベネスエラ国会の離脱阻止要請を議題にしたい構えだ。これとは別にOEAの定例外相会合が6月20~21日、メヒコで開催される。
▼ラ米短信 ◎ブエノスアイレス市議会がアスルドゥイ像撤去を決定
BsAs市議会は5月4日、大統領政庁(カサ・ロサーダ)裏に建つ、ボリビアと亜国北部独立の女性英雄フアーナ・アスルドゥイが独立戦争で戦う姿を描いたボリビア政府制作の銅像を撤去することを決めた。
この銅像は、ボリビアのエボ・モラレス大統領から贈られたもので、2015年6月、当時のクリスティーナ・フェルナンデス亜国大統領によって除幕式が挙行された。
政権がラ米右翼勢力の旗頭マウリシオ・マクリ大統領の手に移ったため、政権の史観や好みに合わない記念物は排除されることになる。
▼ラ米短信 ◎エクアドール大統領がフィデル墓参
赤道国のラファエル・コレア大統領は24日の任期切れを前に3日、クーバのサンティアゴ市に到着、市内の聖母エフィフェニア墓地にあるホセ・マルティ廟とフィデル・カストロの墓に4日参拝。「2人は世界史に名を残したラ米の巨人だった」と述べた。
コレアはハバナに移動、ラウール・カストロ国家評議会議長からホセ・マルティ勲章を授与された。また国立ハバナ大学から名誉博士号を授与された。