2017年5月25日木曜日

  エクアドルのレニーン・モレーノ大統領が就任。社会政策重視継続を約束。就任式出席のマクリ亜国大統領は高山病で、南米諸国連合会合を開けずに帰国▼ベネズエラ最高裁が首長8人に反政府街頭行動の許可禁止を命令

 エクドール(赤道国)で5月24日、レニーン・モレーノ大統領(64)が就任した。4月2日の大統領選挙決選で51・16%を得票、保守・右翼陣営で新自由主義者の銀行家ギジェルモ・ラッソ(61)を破った。任期は4年。

 国会での就任式で、車椅子のモレーノは、前任者ラファエル・コレア(54)から大統領の襷をかけてもらった。就任演説で、「未来は我々を待ってくれない。未来は現在だ」で切り出し、「4年後には、よりよい赤道国を人民に渡す」と宣言した。自身も副大統領として関与した「市民革命」という改革政策を推進したコレア前政権10年の実績を讃えつつ、新しい時代を切り開くと強調した。

 モレーノは、「人民の生活を守る責任ある国・政府になる」と述べ、具体的政策として、住宅32万5000戸を建設、うち19万1000戸を極貧過程に無料で与え、残りは低所得層に渡すと約束した。雇用13万6000人分創出、貧困対策の一環としての「人間開発給付金」を月150ドルに引き上げること、65歳上の病弱な高齢者への無料医療提供なども掲げた。

 アマソニアの環境保護、隣国コロンビア政府とゲリラELN(民族解放軍)の和平交渉貸座敷として引き続き支援することなども打ち出した。

 就任式には、ボリビア、コロンビア、ペルー、チレ、パラグアイ、アルヘンティーナ、アイチ、コスタ・リカ、オンドゥーラス、グアテマラのラ米10カ国大統領、クーバ第1副議長、米国務省米州担当次官補、南米諸国連合(ウナスール)前事務局長エルネスト・サンペールらが出席。ベネスエラからはカルメン・メレンデス大統領府相が出席、遠方からはサハラウイ・アラブ民主共和国(SADR)のブラヒム・ガリ大統領が出席した。

 亜国のマウリシオ・マクリ大統領は、モレーノ大統領就任後、キトの亜国大使館でウナスールの非公式首脳会合を開き、事務局長選出問題、ベネスエラ、ブラジル両国の情勢について話し合う計画だった。4月21日にベネスエラからウナスール議長国を引き継いでいたからだ。だが標高2800mのキト到着後間もなく高山病にかかり、就任式後、予定を取りやめ帰国の途に就いた。

◎ベネスエラ情勢

 ベネスエラ最高裁は5月24日、カラカス首都圏区長、ミランダ、メリダ両州内の市長ら計8人の首長に、反政府勢力への街頭行動許可を禁止する命令を発した。「平和デモ」を装い暴動を起こすのが常態となったため。8人は保守・右翼野党連合MUD所属。

 ネストル・レベロール内相は同日、首都圏、ミランダ、スリア両州で破壊活動を組織し資金を暴力集団に与えていたとして、MUD内の極右3政党党員計7人を逮捕した、と発表した。

 元検事イサイーアス・ロドリゲスは、「検察内が割れている」として、政府政策にしばしば異論を唱えてきたルイサ・オルテガ検事総長に「反政府勢力の網に絡らめ捕られるのではないか」と警告。「行政府内の一致」を求めた。

 一方、デルシー・ロドリゲス外相は、MUD指揮下の反政府勢力が2014年に決行した街頭暴動事件(グアリンバ)を調査するため政府が設置した「真実・正義委員会」の任務延長が決まった、と明らかにした。マドゥーロ大統領から指示があった。

▼クーバ・ベネスエラ情勢講演会:5月24日1900~2030、東京・高田馬場のNGOピースボート本部で開かれ、約50人が参加した。講師の伊高浩昭は玖国情勢を語り、コロンビア記者らが昨年制作したグアンタナモ米軍基地をめぐるビデオ映像(35分)を放映した。次いで、険悪度が日々に増しているベネスエラ情勢について話した後、質疑応答に移った。2040ごろ閉会した。