ヴァティカンは2月3日、法王フランシスコがエル・サルバドール(ES)の故オスカル・ロメーロ大司教を「殉教者」と認めた、と発表した。首都サンサルバドールの大司教だったロメーロは1980年3月24日、病院内の礼拝堂で癌患者らへのミサを遂行中に狙撃手によって暗殺された。
この事件を契機に事実上、ES内戦が始まった。内戦終結後の「真実委員会」の調査で、暗殺を指揮したのは故ロベルト・ダウブイソン陸軍諜報担当少佐だったことが明らかになった。
ダウブイソンは、1980年代末から20年間、政権を支配した極右政党「国家主義共和同盟」(ARENA)の創設者だった。ロメーロ大司教は、軍部による人道犯罪を厳しく批判していた。このため暗殺された。
「殉教者」になると、次に「福者」、さらに「聖人」の認定に進む道が開ける。
法王はまた、ペルーで1991年8月25日、極左武闘組織「センデロ・ルミノソ」(輝く道)に殺害された修道士2人をも「殉教者」とした。