コロンビア(COL)のフアン=マヌエル・サンチェス大統領が、「将来の加盟を視野にCOLはOTAN(オタン=北大西洋条約機構=NATO)への接近策をとる」と発表し、ラ米に大きな波紋を投げかけている。
大統領は6月1日、「まず今月、国防相がOTANとの協力協定に調印する」と明言した。「ハバナでのFARCとの和平交渉が成立すれば、国軍を世界の他地域に展開させることが可能になる。COLは大きな発想を持つ。世界の良い国になるために
」とも語った。
先月26日、COLをジョゼフ・バイデン副大統領が訪問した際、この問題が話し合われた。米国務省は3日、COL加盟支持を表明した。
COL政府筋は、「OTANへの加盟は当面ないが、COLはOTAN会議に今年出席しており、両者が何らかの合同行動をする可能性が生まれつつある」と述べた。
一方ブルッセルのOTAN本部は3日、COLとの協力関係には関心があるが、COLは「北大西洋沿岸国」という条件を満たさないとして、当面COL加盟はありそうもない、との考えを示した。だが、「現在、OTANとCOLは機密情報交換合意のための交渉過程にある」と明らかにした。
ラ米は「ラ米統合を乱す」と、激しく反発している。ボリビアのエボ・モラレス大統領は3日、「ラ米人民に対する脅威、挑発、陰謀だ」とCOLを非難し、「欧州やアフリカを侵略してきたOTANに加盟したいとはいったいどういうことか」と反駁した。
ベネズエラのニコラース・マドゥーロ大統領は3日、「COLに再考を促す」と述べ、「ラ米はウナスール(南米諸国連合)とラ米・カリブ諸国共同体(CELAC)として対応すべきだ」と強調した。
同大統領はまた、ウリーベCOL前政権による米軍へのCOL7軍事基地共同使用許可の決定よりも悪い、と非難した。大統領は国軍高官との会合では、「OTANはCOLを通じて、米政府が決定する戦略を南米で実行することになりうる」と強い懸念を表目した。
マドゥーロもモラレスも、ウナスール安全保障理事会(防衛理事会)の緊急開催を要請した。
COLがこの時期にOTAN接近策を発表したのは、グアテマラのアンティグア市で4~6日開かれる、米州諸国機構(OEA)の第43回総会(外相会議)を意識してのことである。