2013年11月16日土曜日

ミチェル・バチェレー優勢:明日17日、チリで大統領選挙


 チリで11月17日(明日)、大統領選挙が実施される。新大統領の任期は2014年3月から4年間。

 有権者は1250万人。義務制でなく自由選挙制。投票率の高低に関心が集まっている。

 立候補者は左翼から右翼まで9人。最有力候補は、社会党員で、「新多数派」候補のミチェル・バチェレー前大統領(62)。最新の世論調査で支持率は51~54%に達しており、過半数を上回って当選する可能性がある。

 過半数に達しない場合は、得票2位の候補と12月15日の決選投票に臨むことになる。

 2位の座を争っているのは、ピニェーラ現政権の政権党連合を組む独立民主連合(UDI、右翼)党員で前労相の「チレのための同盟」候補エベリン・マテイ(60)。だが支持率は18~19%。

マテイの父とバチェレーの父はともに空軍の将軍だった。マテイは空軍司令官になり、ピノチェー軍政の軍事評議会の一翼を担ったが、バチェレーの父はサルバドール・アジェンデ大統領に忠誠を誓っていた。このため軍政に反逆罪で逮捕され、拷問されて死んだ。

女性同士の「因縁の対決」だが、マテイは人気が低く、差をつけられている。

マテイを凌いで2位に浮上しようとしているのは、新自由主義経済学者フランコ・パリシ(46)と、映画監督で中道左翼のマルコ・エンリケス-オミナミ(MEO、40)だ。

MEOは、極左ゲリラ指導者だった父親が軍政に殺されたため、日系政治家、大南(オオミナミ)氏に育てられたため、姓に「オミナミ」加えている。

他に、左翼の環境活動家マルセロ・クラウデ(56)、地方分権主義者リカルド・イスラエル(63)、主婦で「人民の代表」を名乗るロサーナ・ミランダ(46)、緑の環境党のアルフレド・スフェイル(66)、中道無所属のトマース・ジョセリン-ホルト(50)。

結果は日本時間18日昼前後に判明する見通し。

【参考:月刊誌『世界』(岩波書店)12月号(11月8日刊)掲載の伊高執筆「チリ9・11軍事クーデター40周年:民主体制歪め続けるピノチェー軍事独裁の遺制」】