ボリビアで2月21日、エボ・モラレス現大統領の2019年実施の次期大統領選挙出馬の是非を問う国民投票が実施される。大統領連続2選までを認めている現行憲法の第168条を改正し、連続3選を可能にするか否かを問う。有権者は560万人。
19年選挙にエボが出馬し当選すれば、2020年1月までのエボの任期は25年まで5年間延長される。エボは2006年1月就任し、既に10年余り政権にある。2025年までなら、連続19年の長期政権となる。
ボリビア経済は、天然ガス、原油、鉱物など好調な輸出の増大で年平均4・9%成長。エボは、国庫収入を教育、医療、住宅建設など社会投資に投入、人口の7割方を占める先住民らの支持を固めてきた。
政府統計によると、2006~15年に貧困率は53%から29%に減り、260万人が中産層に上昇した。一日当たり1ドル以下で暮らす極貧層は38%から17%に減った。
だが国際経済の冷え込みで一次産品価格が低下した昨年、国庫収入は32%も減った。これにより、経済を政治の推進力にしてきたエボの勢いが鈍った。
エボの多選に激しく反対してきた野党勢力は、好況時にエボが経済多角化のため投資しなかった、と批判している。
そこへもってきて今月初め、エボが大統領の影響力を用いて、愛人が重役を務めている中国系企業に、公共事業7件(総額40億ボリーバル=5億6000万ドル)を入札なしで発注した疑惑、およびエボとその愛人との間に男児が生まれていたことが暴露された。ラ米人は愛人問題には概して寛容だが、地位を利用しての事業発注には批判的だ。支持率は急速に下がった。
追い打ちをかけるように17日、ラパスに隣接するエル・アルト市で暴徒の群れが市庁舎に乱入し、書類を燃やし、放火した。この火災で職員6人が窒息死し、20人が負傷した。
同市では、エボの政権党MAS(社会主義運動)幹部70人を巻き込んだ巨額の公金横領事件が起きていた。この事件の関係書類は、今回の事件で大方燃やされ、破壊された。事件も投票行動に影響を及ぼすと見られている。エボは、いつになく苦戦を強いられている。
国民投票結果は、48時間以内(日本時間24日午前)に判明する見込み。南米諸国連合(ウナスール)の投票監視団20人、国際監視員1000人が各地の投票所に展開している。
ウナスールのエルネスト・サンペール事務局長は19日、エボと共にコチャバンバ市を訪れ、同地に建設中の南米議会議事堂の建設状況を視察した。80%は完成している。
一方、ボリビア国営石油会社・国庫油床(YPFB)と組むスペインのレプソール石油は19日、ボリビア南部のタリーハ州内カイピペンディ天然ガス田の3カ所で、新しいガス埋蔵地を発見したと発表した。これによりボリビアのガス確定埋蔵量は40%増えた。
またエボと、ロシアのガスプローム社のアレクセイ・ミレル社長は18日タリーハ市で、ガス田共同開発など同社とYPFBの協力強化など3協定に調印した。