ボリビアのエボ・モラレス大統領は2月21日実施された国民投票で敗北した可能性がある。選挙最高裁判所(TSE)は22日、開票率85%段階で、モラレス4選への反対53・8%、賛成46・2%と発表した。各種の出口調査でも反対が上回っている。
モラレスは、2019年の次期大統領選挙への出馬を可能にするための改憲をかけて国民投票を実施した。現行憲法下では連続2選しかできず、モラレスは改憲で連続3選を可能にしようとしている。
先住民族アイマラ人であるモラレスは2006年1月以来、旧憲法下での最初の当選を含め既に3選を果たし、政権は10年続いている。現行任期も2020年1月まで、あと4年ある。
次回選挙に出馬し当選すれば、政権は2025年まで続くことになり、さすがに有権者は拒絶反応を示さざるをえなくなった、と指摘することができる。2025年はボリビア独立200周年であり、モラレスは大統領として、その年を迎えたがっていた。
民放テレビ、出口調査機関などは、改憲反対52・3%、賛成47・7%、同51対49など、反対が過半数と発表している。
ボリビア9州のうち、出口調査で賛成票が多数なのはラパス、コチャバンバ、オルーロの3州だけだ。
モラレスは外国紙に対し、「支持団体から新自由主義勢力を復活させないために出馬してくれと推挙された。だが負けたら(2020年1月)チャパーレに帰る」と語っている。コチャバンバ市郊外のチャパーレはモラレスが指導するコカ葉栽培労組の中心的栽培地だ。
さらに後継者候補の一人として、ダビー・チョケウアンカ外相の名を挙げた。米帝国主義反対一辺倒の論理は古いのではないかと訊かれると、「帝国と資本主義があるかぎり闘争は続く」と答えた。
モラレスとともに歩んできたアルバロ・ガルシア副大統領も、「我々は人民の中から出てきた。人民の意見に従う」と、敗北を覚悟したかのような発言をしている。
モラレスは経済建設で前例のない成果を挙げたが、国民投票直前の今月初め、愛人のいる企業に公共事業を発注した疑惑を暴露されたのが響いた。またエル・アルト市で政権党MAS要員らが市庁舎に乱入し放火、6人が死亡する事件が起きたのも影響した。
南米ではアルゼンチンでの右翼政権発足、ベネズエラ国会での保守・右翼連合の多数支配など右傾化の流れが顕著になっている。モラエス敗北が確定すれば、南米左翼の潮流に対する右傾化の逆流が本流になる可能性が出てくる。