メヒコ北部のヌエボレオン州都モンテレイ市内にあるトポチコ刑務所で2月10日夜から11日未明にかけて同じ麻薬マフィアに所属する囚人同士の戦いがあり、州政府の11日の発表によると、52人が死亡、5人が重傷、7人が軽傷を負った。
この刑務所では、北部一帯で特に根を張る麻薬マフィア「ロス・セタス」が「自治支配」していた。看守ら刑務所当局は、彼ら囚人たちから現金を徴収、それと引き換えに内部支配を許していた。
発表によれば、昨年末に近隣のタマウリパス州内の刑務所から移送されてきたロス・セタスの幹部がトポチコ刑務所の支配権を握ろうと画策、従来からのロス・セタスの幹部といさかいになり、今回の戦いとなった。囚人たちはこん棒やナイフを手に戦った。
背景には、刑務所の過剰人口がある。国内389刑務所の7割は定員過剰で、トポチコ刑務所は定員の2倍の3800人が収容されてきた。囚人たちは絶えずストレスと、襲われる危険に苛まれている。
12日来訪するローマ法王フランシスコは、米国国境のフアレス市にある刑務所を訪れることになっている。メヒコ政府にとっては、極めて都合の悪い時期に今回の重大事件が起きたことになる。
メヒコ社会では犯罪者の多くが無処罰に終わる無法状態が支配しているが、刑務所内も腐敗の充満する無法地帯であることが、あらためて浮かび上がった。