トルコのレジェプ・エルドアン大統領は1月31日チレの首都サンティアゴに到着、2日、ミチェル・バチェレー大統領と会談した。エルドアンは、チレと2001年に自由貿易協定(FTA・TLC)を結んだがラ米との最初の同協定調印であり、トルコにとってチレは南米の玄関口だ、と述べた。
さらにサンティゴに本部のある国連ラ米・カリブ経済委員会(CEPAL)へのトルコの加盟希望を表明した。バチェレーは、貿易をはじめとする両国関係の拡大強化を希望した。
会談後、エルドアンはCEPAL本部で演説、国際社会に難民支援をあらためて要請した。チレ駐在の欧州諸国の大使たちが多く出席していた。
大統領は、シリア、イラクなどからの難民250万人がトルコに来て、うち26万人が今も国内の収容所にいると述べ、これまでにトルコは難民対策に90億ドルを費やしたが、外国から受けた援助は4億2000万ドルにすぎない、と指摘した。また、欧州は難民対策として約33億ドルの供出を約束したが、依然具体化していない、と苦情を口にした。
今年5月26、27両日イスタンブールで難民問題などを話し合う第1回国連世界人道首脳会議が開催されると述べ、先のG20首脳会議でトルコはシリア北部に難民のための安全地帯を設定することを提案、国際社会の回答を待っている、と強調した。
エルドアンは宗教絡みの難民差別に触れ、死を逃れた難民を宗教とテロリズムを関連させて差別することは、テロリズムの培養器になると指摘、国際社会に繊細な対応を呼び掛けた。
シリアのアサド政権については、5年に及ぶ内戦で40万人が死亡したが、うち1万4000人は化学兵器で殺されたと非難。アサドはイランとロシアを同盟国としているが、シリア人の改革要求に耳を傾けるべきだ、と注文を付けた。
トルコで連発した重大なテロリズムに関しては、国際社会の受け止め方が欧州での事件ほど深刻に捉えられないの遺憾だ、とし、テロリズムに善悪はないと強調した。
大統領は、トルコの反政府勢力であるクルディスタン労働者党(PKK)と、シリアの反政府勢力、人民防衛隊(YPG)を関連付け、米政府はダエシュ(IS)との戦いでYPGと連携している、と指摘した。
エルドアンはLAC(ラ米・カリブ)との関係については、2009年に6カ所しかなかったトルコの外交公館は現在13カ所に増えているとし、南南関係強化のためメヒコとコロンビアに「トルコ協力連絡機構」(TICA)の代表部を置いていると述べ、LACとのFTA締結を促進したいと強調した。
さらに、トルコは米州諸国機構(OEA)、太平洋同盟(AP)、カリブ諸国連合(AEC)のオブザーバーであり、南部共同市場(メルコスール)、カリブ共同体(カリコム)と連携関係にあると述べた。メヒコ、インドネシア、韓国、豪州とともにMICTAを結成していることにも触れた。
トルコとラ米の通商は2000年に10億ドルだったのが、14年には100億ドルと、10倍になった事実を強調した。エルドアンは2日以降、ペルーとエクアドールを訪問する。
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