メヒコを2月12日から訪問中のフランシスコ法王は15日、最貧州チアパスのサンクリストーバル・デ・ラスカサス市の市営スポーツセントロで野外ミサ執り行い、先住民族に過去の迫害を謝罪した。ミサには、マヤ系先住民を含む14万人が参加した。
法王は、「先住民は無理解や社会的疎外に苛まれ、見下されてきた」と指摘し、「我々は許しを請うことを学ばねばならない」と述べ、先住民に「ペルドン(ごめんなさい)」と直接謝罪した。
また法王は、「権力、金(かね」)、市場原理に酔い痴れて、先住民の土地を奪取したり、自然を汚染させることもあった」と、過去の植民者らによる狼藉を批判した。
さらに、「先住民こそ、人と自然の調和を人類に教える立場にある。我々は、歴史的な環境破壊の危機を前に黙していてはならない」と、警鐘を鳴らした。
ミサでは、先住民語のチョル、ツォツィル、ツェツァルも使われた。隣国グアテマラからも先住民らがミサに参加した。
この都市は、スペイン人入植者による先住民への迫害を糾弾し、「インディアス(新世界植民地)の主権は先住民にある」と唱えた高僧バルトロメー・デ・ラスカサス師のゆかりの地。法王は、その史実を意識し、先住民の置かれた状況に光を当てた。
20世紀後半、「解放の神学」の影響を受けたサムエル・ルイス司教が地元の大聖堂で司祭した。法王はミサに先立ち、同司教の墓と大聖堂を訪れた。
1994年元日には、メヒコの伝統的支配体制に反逆し、先住民主体の「サパティスタ民族解放軍」(EZLN)が蜂起し、一時的だが陸軍を制圧した。以来26年、EZLNは包囲された状況の下、自治社会を維持している。