2017年7月6日木曜日

~~ピースボート2017波路遥かに~~②ベネズエラ

 ちょうど1年ぶりに訪れたカラカスは、反政府勢力の街頭行動がたまたまなかったため、移動が楽だった。街中の壁面には、7月30日実施の制憲議会(ANC)議員選挙に向けた政権党PSUVの大ポスターがペンキで描かれている。すぐに剥がされ破り捨てられる紙のポスターは通用しない。

 都心のボリーバル広場、そこに面した外務省、少し離れた丘陵上のチャベス廟や、あちこちで地元の人々と対話した。船内では来船したラ・グアイラ港地元のバルガス州当局者や外務省当局者と話し合った。巷の庶民は物資不足や治安悪化を託(かこ)つが、政変はないと見る。当局者は落ち着いていた。故ウーゴ・チャベス14年、ニコラース・マドゥーロ4年の計18年、政権を握り固めてきたチャベス派は、国軍と一体化して揺るがない。そんな自信である。

 反政府勢力は、米国務省、米南方軍、CIAの指導を受け、軍資金をもらって合法・非合法の反政府工作を続けきたが、国軍を割ってクーデターを起こす目的を達することができないままだ。米国務省の下部と化した米州諸国機構(OEA)の度重なる反ベネスエラ策謀もことごとく失敗してきた。

 過去200年の間にラ米・カリブの多くの国々は、米帝国主義に侵略された苦い経験を持つ。だから米国を完全には信用しない。かくして米国と、その手先に成り下がったメヒコ、ペルーなどによる多数派工作は毎回失敗してきた。

 マドゥーロ政権は7月30日の投票日に向けて邁進しているが、反政府側はさまざまな妨害工作を激化させるだろう。7月は天王山だ。新自由主義資本に支配されている内外マスメディアの反VENキャンペーンも一層激しくなるはずだ。

 6月23日は「沖縄慰霊の日」。そのため、沖縄・日本関係史、軍事基地を含む今日の問題について特別に語った。船客たちは壁新聞で、大田昌秀元沖縄県知事の死去を知っていた。共謀罪強行採決、森友・加計疑惑事件のことも知っていた。すべてが絡む現代、どの切り口からも、諸問題の生々しい赤い肉が見えてくる。

 毎回気になるのが、若者多数派の政治的、社会的、国際情勢的な深い無関心だ。彼らは自ら気づかずに、やすやすと罠にはまってしまうだろう。歯がゆいが、電脳個人メディアと一体化している彼らに説得は通じない。聞く耳を持たないのだ。彼らがよほど困らない限り、こんな状態が続くだろう。