2017年7月22日土曜日

 南部共同市場(メルコスール)首脳会議が対ベネズエラ強硬路線を変更▼バスケス・ウルグアイ大統領の根回しが奏功▼ボリビアのエボ・モラレス大統領は「石油資源狙う米国の共犯者になるな」と熱弁振るい警告

 南部共同市場(メルコスール)は7月21日、亜国中西部アンデス山麓のメンドサ市で首脳会議を開き、ベネスエラ問題を中心に討議した。会議には原加盟国の亜ウルグアイ伯パラグアイ、準加盟国ボリビア、協賛国チレの6カ国統領が出席した。資格停止中の加盟国ベネスエラは招かれなかった。

 議長国亜国のマウリシオ・マクリ大統領(右翼)は、同傾向の伯パラグアイ両国と連携し、ベネスエラを事実上の除名に相当する「恒久的資格停止」処分にしようと謀っていた。

 だが、進歩主義(穏健左翼)ウルグアイのタバレー・バスケス大統領が根回しし、「恒久的資格停止」案を葬った。

 また、マナグア、ハバナを歴訪しメンドサ入りしたボリビアのエボ・モラレス大統領は、ベネスエラを憎悪している亜パラグアイ伯3国を念頭に、「メルコスールも、いかなるラ米機関も、ベネスエラに介入する米国の共犯者になってはならない」と熱弁を振るい、親米国派の内政干渉路線を糾弾した。

 モラレスは、「リビアやイラクを見よ。石油資源奪取のためベネスエラ介入を続ける米国に加担してはならない」と激しく詰め寄った。さらに、「メルコスールは(米国がラ米介入のため利用してきた)米州諸国機構(OEA)の苦い歴史を繰り返してはならない」と諌めた。

 結局、首脳会議は、ニコラース・マドゥーロVEN大統領に保守・右翼野党連合MUDとの対話と、制憲議会(ANC)開設中止を求める書簡を送ることになり、ボリビアを除く5カ国がそれに署名した。

 一方、ベネスエラでは21日、国軍(FANB)が全国に要員23万2000人を展開させ治安を維持し、30日のANC議員選挙の投票所1万4515カ所を警備する「2017ANC共和国計画」が始まった。

 MUDはこの日、最高裁判事13人と同補欠20人を一方的に任命した。むろん最高裁は、これを認めない。

 ベネスエラ原油は21日、1バレル=43・48ドルをつけた。