2017年7月31日月曜日

★ベネズエラ制憲議会(ANC)議員選挙終わる。808万人投票(41%)と選管発表。N・マドゥーロ大統領はANCを国会議事堂に8月2日召集▼親米・反ベネズエラのラ米諸国はリマで8日外相会議開き対応協議へ▼ボリビア、ニカラグア、エル・サルバドールなどは「勝利」を讃える

 ベネスエラで7月30日、制憲議会(ANC)議員選挙が実施され、ニコラース・マドゥーロ大統領と政権にとって大勝利に終わった。国家選挙理事会(CNE)のティビサイ・ルセーナ理事長は、30日深夜、投票率は41・53%、808万9000人が投票した、と発表。「暴力と脅迫に屈せず投票した」と選挙民を讃えた。

 出馬したのは、政権党ベネスエラ統一社会党(PSUV)と、その友党の党員ばかり。選挙をボイコットしたばかりでなく、道路封鎖、破壊活動、対人テロで投票を阻止しようとした保守・右翼約20政党の野党連合MUDは、新しい憲法条項を起草するANCに代表を一人も持たない状況に陥ることになる。

 マドゥーロ大統領は一夜明けた31日、政権党の勝利集会で演説。「チャベス主義政権18年間で最大の勝利だ」と自賛。、ANCを8月2日、国家議事堂に召集する、と発表した。

 国会は昨年初めからMUDが圧倒的多数議席を確保、政権との「ねじれ現象」を最大限に活用し、政策にことごとく異議を唱えてきた。これに対し政府は、国会の立法や決議を最高裁判断で「違憲」とし、政令で施政を続けてきた。

 だが、この手法も限界に達し、大統領は今年3月末、国会機能を最高裁憲法法廷に移そうとして失敗。これが4月初めから今日に至る、MUD指揮下の反政府暴動を招いた。

 マドゥーロ政権を倒してラ米左翼陣営を大きく弱体化させ、財界主導のMUD政権を樹立し、ベネスエラの原油を20世紀末までのように支配したい米政府は,MUDを支持。クーデター、テロりズム、外交、メディア宣伝などの戦略をMUDに授け、巨額の資金援助をしてきた。MUDが「持久戦」を展開してこられたのも、米政府の支援があったからだ。

 「メディアテロリズモ」と呼ばれるほどにひどい「反マドゥーロ報道」は、虚偽情報だらけで、ジャーナリズムは死を宣告されたも同然の状態となってきた。これに影響され抜け出せない日本メディアも目立つ。「選挙を強行」という見出しもあったが、これではANCに反対する米州諸国の内政干渉路線に加担していると解釈されても仕方ないだろう。

 マドゥーロ大統領は31日の演説で、「ANCを開設したらベネスエラに厳しい経済措置を講じる」と脅してきたトランプ米政権について、「カラホ(阿呆か)! トランプが何と言おうが無意味だ。ベネスエラ人民の声が重要なのだ」と強調した。

 また、30日に全国で投票所150カ所が反政府暴徒に襲撃されたと明らかにし、「真実・和平委員会」を直ちに設置すると述べた。反政府暴動の実態を調査・検証し、国会議員らMUD指導部を法的に追及する構えを示したものだ。検察庁は投票日に10人が殺害されたと認めた。4月以来、反政府活動に関連する死者は125人を超えたもよう。

 大統領はさらに、今年12月10日に予定されている州知事・州会議員選挙にMUDが参加できるか否かは、政府との対話次第だと述べ、MUDが暴徒を動員しての破壊活動を今後も続ければ、州選挙に参加出来なくなる可能性を示唆した。

 MUDは30日深夜、「投票率は12・4%にすぎない」と述べた。これは先ごろの反政府系世論調査で「ANC反対が80%台」となったと報じられたのを受け、おおまかな差引をした結果と受け止められており、「12・4%」に根拠はない。MUDは31日正午から街頭で反政府・ANC活動、夕方から反政府行動中に出た死者への追悼をすると明らかにしている。

 投票結果を受けて、米政府の他、亜パラグアイ伯智秘コロンビア巴コスタ・リカ墨加西がANC開設を認めないと表明。トランプ政権と密接に連携しているペルー政府は31日、リマで8月8日有志国外相会議を開くと発表した。亜パラグアイ伯智秘コロンビア巴コスタ・リカ墨グアテマラ加ホンジュラスが出席するもようという。

 一方、ボリビア、ニカラグア、エル・サルバドールの3国大統領はANC選挙成功を祝福。ルーラ元伯大統領、ロドリーゴ・ロンドーニョFARC最高司令らも祝福した。またクーバ共産党(PCC)機関紙グランマは31日、「ベネスエラの模範的勝利」と題した記事を掲げ、ANC選挙終了に安堵する立場を示した。