▼▼▼▼▼パラグアイ国会は6月21日、北東部で15日発生した農民・警官17人死亡事件の責任をなすりつける形でフェルナンド・ルーゴ大統領弾劾決議を可決した。大統領には22日、2時間の釈明機会が与えられるが、その後、解任される公算が大きくなっている。
▼これに対し、「ストロエスネル独裁時代から勢力を温存してきた守旧派や有産階級による国会を介しての事実上のクーデターだ」と受け止める内外世論が巻き起こっている。旧勢力は、ルーゴ政権の改革政策や進歩主義外交を毛嫌いし、追い落としの機会を絶えず狙ってきた。
▼南米諸国は事態に緊急に対応している。「リオ+20」会議出席のためリオデジャネイロに集結していた主催国ブラジルおよび、ウルグアイ、チリ、ボリビア、エクアドール、コロンビアの計6カ国大統領は緊急会合を開いた。其の結果21日夜アスンシオンに、南米諸国連合(ウナスール)のアリー・ロドリゲス事務総長(ベネズエラ)と、ブラジル、アルゼンチン、ウルグアイ、チリ、ペルー、エクアドール、コロンビア、ベネズエラの8カ国外相およびボリビア閣僚を急派した。
▼外相派遣団は直ちにルーゴ大統領と会合し、連帯を表明した。
▼また、アルゼンチン、ブラジル、ウルグアイ、パラグアイの加盟する南部共同市場(メルコス-ル)も、パラグアイ国会の決定に強い不信感を抱いている。ウナスールとメルコスールは規約に「民主条項」を持っており、今回の弾劾が「クーデターに等しい」と判断されれば、両機構からのパラグアイの追放もありうることになる。
▼一方、ブエノスアイレスに本部のあるNGO「平和と正義への貢献(SERPAJ)」は21日声明を発表し、パラグアイの旧勢力がルーゴ政権の改革の実績を葬り去ろうとしていると非難し、パラグアイ人民に抵抗を呼びかけた。SERPAJの代表は、ノーベル平和賞受賞者アドルフォ・ペレス=エスキベル氏が務めている。
▼ルーゴ大統領は5月29~31日、日本を公式訪問した。