2018年4月28日土曜日

 メキシコのアヨツィナパ教員養成学校生43人強制失踪事件から3年7か月、依然未解決▼グアダラハーラの大学生3人は麻薬マフィアに殺され硫酸で溶かされる▼アルス―・グアテマラ元大統領死去

 メキシコ・ゲレロ州イグアラ市一帯で2014年9月26~27日起きた学生43人の強制失踪事件および市民6人殺害事件は、未解決のまま4月26~27日で3年7か月が過ぎた。

 43人は、ゲレロ州都チルパンシンゴの郊外にあるアヨツィナパ農村教員養成学校の学生。この両日、首都メキシコ市、イグアラ市、同学校、およびハリスコ州都グアダラハーラを中心に、事件を解決しようとしない政府への抗議デモが展開された。

 グアダラハーラ市がなぜ加わったかと言えば、同市にあるグアダラハーラ視聴覚メディア大学(CAAV)の男子学生3人が3月19日、研修取材に出掛けたまま拉致、殺害され、遺体を硫酸で溶かされてしまったことが最近明るみに出たため。3人の遺骨がDNA鑑定にふされ、学生3人のものと判明した。

 アヨツィナパ事件とCAAV事件の共通点は、麻薬マフィアが絡んでいること。CAAV学生は、ハリスコ州内で暗躍するマフィア「ハリスコ新世代」の取材に出掛けたまま行方不明になっていた。各地の学生たちは「第2のアヨツィナパ事件」と捉え、連帯している。

 農村教員養成学校生らは、乗っていたバスに、ゲレロ州に根を張るマフィアが米国のシカゴに運ぼうとしていたヘロインなどの麻薬が積んであったことから、口封じのためか、拉致され消息が不明。1~2人の遺骨が43人のうちの学生のものとDAN鑑定で判明したとされるが、遺族や世論は「43人全員の生還」を政府に訴え続けてきた。

 メキシコでは7月1日、大統領選挙が実施されるが、最有力候補アンドレス=マヌエル・ロペス=オブラドール(AMLO=アムロ、中道左翼)は、当選したらアヨツィナパ事件解明に尽力すると公約している。

 すでにレイムダック化して久しい汚職まみれのエンリケ・ペニャ=ニエト現大統領は同事件を解決できない。なぜならば指揮下にある陸軍、連邦警察が事件に関与、同軍・警察が麻薬マフィアとつるんでいた事実があるからだ。
 この事実はすでに独立調査機関によりほぼ解明されているが、政府は認めない。

▼グアテマラ元大統領死去

 アルバロ・アルス―元大統領(72)は4月27日、ゴルフ中に心臓発作で死去した。
1996年1月から4年間、大統領を務め、同年12月29日、36年続いた内戦に終止符を打つ和平協定に、左翼ゲリラ統一組織「グアテマラ民族革命連合」(URNG)とともに調印した。

 その後、2004年から連続4期、首都グアテマラ市の市長を務めてきた。同名の息子は国会議長。政治的傾向は保守・右翼で、評判の悪いジミー・モレーノ現大統領の同盟者だった。