2018年4月22日日曜日

 ニカラグアで社会保障分担金増額めぐり市民が抵抗、死傷者出る▼コロンビアELNゲリラの和平交渉が中断余儀なくさる▼ハバナでキューバとベネズエラが首脳会談

 ニカラグアで4月18日からが反政府抵抗活動が続いている。死者は大学生ら少なくとも10人に達した。うち1人は警官。
 事の起こりは、官報に17日記載された社会保障分担金改革。破産寸前と伝えられる社会保障庁(INSS)の窮状を和らげる措置だった。

 分担金増額は7月1日から。労働者は現行の月給の6・25%から7%に引き上げられる。年金生活者は年金月額の5%を健保負担金として支払はねばならなくなる。

 使用者は、現行の19%が21%に2ポイント増える。さらに2019年1月から1p増しの22%、20年1月から0・5p増しで22・5%になる。
 私企業高等会議(COSEP、経団連)はすぐさま反対を表明。労働者、大学生、年金生活者らも街に繰り出した。

 ダニエル・オルテガ大統領のサンディニスタ政権は警察機動隊に加え、棍棒などで実力行使する青年団を出動させ、バリケードや投石で抵抗する大学生らを制圧した。

 オルテガは21日、COSEPに年金改革決定を修正するための話し合いを呼び掛けた。これに対しCOSEPは、まず弾圧を止め反対運動の自由を認めるべきだと応じ、これを対話受け入れの条件とした。

 4日間続く若者ら市民の反政府行動には、オルテガと、その妻であるロサリオ・ムリージョ副統領の「夫妻強権政権」に対する反感の表れという側面がある。

▼ELN和平交渉が中断

 コロンビアのゲリラ組織「民族解放軍」(ELN)の和平交渉代表パブロ・ベルトラーンは4月21日キトで、レニーン・モレーノ赤道国大統領の発言に「傷つけられた」と表明した。

 同大統領は18日、ELNがテロ活動を止めなければ和平交渉の保障国であること、および和平交渉地(キト)提供を打ち切る、との声明を出した。
 大統領はコロンビア国境地帯で最近起きたエクアドール人報道チーム3人のFARC残党集団による拉致殺害事件を受け、厳しい態度に出た。
 ベルトラーンは、ELNはエクアドール国境地帯では活動していない、と反論している。

 ベルトラーンとコロンビア政府和平交渉代表グスタボ・ベルはモレーノ大統領声明を受け20日、キトで共同声明を発表。赤道国の寄与に謝意を表すとともに、和平交渉第5回話し合いは停止せざるを得なくなったと明らかにした。

 一方、コロンビアのJMサントス大統領は20日、チリ、ブラジル、キューバ、ノルウェー4カ国首脳から電話があり、代替交渉地を提供するとの申し出があったと述べた。同4カ国は交渉保証国。同じ立場にあるベネズエラは電話していないという。

 この和平交渉は2017年2月キト郊外で開始、10月1日から18年1月9日までの停戦を実現させた。今月2日には、その停戦の検証が行われた。

▼ハバナで玖VEN首脳会談

 ベネズエラのニコラース・マドゥーロ大統領は4月21日ハバナで、ミゲル・ディアスカネル玖国家評議会議長と会談した。キューバ元首の交代に伴い、協力関係の現状と今後の在り方を話し合うのが目的。
 VEN大統領にはJアレアサ外相、Eハウア教育相、マヌエル・ケベードPDVSA社長らが同行している。

 マドゥーロ夫人シリア・フローレスと、ディアスカネル夫人リス・クエスタは「プリメラ・ダマ(ファーストレディー)」行事をこなした。キューバにとっては初めての首脳夫人同士の外交交流となった。
 23日にはボリビアのエボ・モラレス大統領が来訪し、玖議長と会談する。