2018年4月30日月曜日

 汚職を追及されているブラジル大統領がアジア歴訪を中止▼ルーラ投獄と均衡図る狙いも▼元ボリビア軍政独裁者が死去▼進歩主義同盟がチリ前大統領を表彰

 ブラジルのミシェル・テメル大統領は4月29日、アジア歴訪を中止すると発表した。5月7日から1週間の日程でシンガポール、タイ、インドネシア、ヴェトナムを訪問する計画だった。
 政府は外遊中止の理由を「議会審議」などの都合と説明している。だが連邦警察が27日、最高裁に対し、テメル大統領の収賄資金洗浄に関する捜査を60日間延長する許可を申請したことが背景にある。

 テメルには以前から巨額の収賄容疑がかけられているが、今回は、昨年サントス港運営認可期間を複数企業に大幅延長してやった見返りに新たに収賄し、不動産取得に充てるなどして資金を洗浄した容疑。買った不動産の名義は妻や息子にしていた。

 ブラジル当局は、今年10月実施の大統領選挙最有力候補ルーラ元大統領を収賄で有罪とし、身柄を拘禁した。これに対しては世論の反発が大きく、釣り合いをとるためにもテメルを追及する必要があった。

 テメルはヂウマ・ルセーフ前大統領の下で副大統領だったが、2016年8月末の「国会クーデター」(弾劾)でルセーフを解任、暫定的に後釜に就任した。今年末、任期が終わる。「ラ米1不人気の大統領」として知られる。

 一方、ブラジル先住民族の2000人が26日ブラジリアで、テメル政権による先住民領土の「前例のないほどひどい侵害」に抗議するデモ行進と集会を実施した。

▼ボリビア軍政独裁者死去

 ボリビア現代軍政史上最悪の圧政者の一人だったルイス・ガルシア=メサ元将軍大統領(88)が4月29日、ラパスの軍事病院で心臓発作により死去した。

 1980年7月、文民のリディア・ゲイレル暫定大統領(女性)をクーデターで追放し、81年に追放されるまで軍政を率いた。その間、人道犯罪が多発した。逃亡先のブラジルで逮捕され、身柄を送還され、30年の禁固刑に服していた。

 部下で内相だったルイス・アルセ=ゴメス元大佐も、麻薬取引で逮捕されていた米国から送還され、09年より30年の禁固刑に服している。

▼チリ前大統領が表彰さる

 旧社会党など中道左翼政党の組織「進歩主義同盟」は4月29日、サンティアゴでミチェル・バチェレ―前大統領を「自由、正義、連帯」への貢献を理由に表彰した。

 この同盟は、旧社会主義インターナショナルの延長組織。チリ社会党所属のバチェレ―は2006~10年、14~18年の2度、大統領を務めた。