キューバ各国営メディアは4月16日、人民権力全国会議(ANPP、国会に該当)が18日、国家評議会員31人を選び、19日、新しい国家評議会議長(国家元首)らが決定、就任すると一斉に報じた。
ANPP議員選挙は3月11日実施され、共産党員605人が当選した。当選者は18日に正式に就任(任期5年)し、最高決定機関である国家評議会員を議員の中から選ぶ。
選ばれた国家評議会員31人は19日、議長、第1副議長、副議長(5人)、書記を互選する。残る23人は平会委員となる。
ラウール・カストロ議長は引退するが、共産党第1書記として影響力を維持する。後任には、現第1副議長のミゲル・ディアスカネル(共産党政治局員)が内定している。
新しい第1副議長には、ブルーノ・ロドリゲス現外相(政治局員)や、共産党ハバナ支党第1書記らが有力視されている。
議長は閣僚評議会議長(首相)と革命軍(FAR)最高司令官を兼ねる。だがディアスカネルが議長になった場合、最高司令官をラウール第1書記が維持し続ける可能性があると観測されている。
4月16日は、故フィデル・カストロ前議長が首相だった1961年のこの日、キューバ革命の「社会主義革命的性格」を宣言した57周年記念日。
フィデルは、CIAがキューバの空港3か所を15日空爆し、玖軍用機を破壊、キューバ人7人が死亡、約50人が負傷したのを受け、対米抵抗の意志を示すかのように「社会主義革命的性格」を宣言した。
翌61年4月17日、ニカラグアから発信したCIA仕立ての反革命在米キューバ人1200人の部隊がキューバ南海岸コチーノス(豚)湾ラルガ浜とヒロン浜に上陸、カストロ体制打倒作戦を開始した。
だが上陸を逸早く察知したフィデルはまず民兵隊で防衛線を張り、次いで革命軍を動員して対抗した。フィデルが最前線で指揮を執り、19日までに侵攻部隊の一部を制圧、大多数を捕虜にした。
フィデルは「米帝軍事作戦に対するラ米側の勝利」と謳い、「プラヤ・ヒロン(ヒロン浜)」は、栄光の勝利の代名詞となった。
その栄光の19日に、新しい国家評議会議長が就任するわけだ。3年後の2021年のこの日は次回共産党大会の最終日となる。議長就任日をこの日に合わせたのは、将来的に議長と第1書記を一致させる狙いを持つ。