2018年4月4日水曜日

ペルー政府が米州首脳会議からベネズエラ大統領を排除

 ペルーの首都リマで4月13、14両日、第8回米州首脳会議が開催されるが、同国政府は3日、ベネズエラのニコラス・マドゥーロ大統領への招待状を撤回すると発表した。
 理由を、5月20日実施のベネズエラ大統領選挙が「民主的に実施される保障がない」としている。マドゥーロは再選を目指し出馬している。
 ペルーのPPクチンスキ前大統領は3月、親米・反ベネズエラのラ米保守・右翼諸国が形成する「リマグループ」(グリマ)と協議し、マドゥーロを招待しない方針を表明していた。
 だが、クチンスキは同月下旬、汚職容疑絡みの醜聞事件発覚で辞任。マルティン・ビスカラ新大統領があらためて招待撤回を確認した。
 ビスカラはこの日(3日)、リマで米州諸国機構(OEA、加盟34か国)のルイス・アルマグロ事務総長と会談している。アルマグロは反マドゥーロの急先鋒。
 ベネズエラ政府は、招待撤回に激しく反発している。ボリビアのエボ・モラレス大統領は、マドゥーロ招待撤回理由を「内政干渉」と批判している。
 この首脳会議はOEA加盟諸国が3年ごとに開く。前回のパナマ会議には、ケネディ米政権の主導でOEAを1962年に追放されたまま復帰していない社会主義キューバのラウール・カストロ国家評議会議長(国家元首)が初めて出席、当時のバラク・オバマ米大統領と会談した。
 ラウール議長はリマ会議に出席する意向。だがベネズエラから供給されている原油が極めて重要なキューバであり、マドゥーロへの招待撤回はラウールの立場を微妙にする。
 ラウールは4月19日、議長職を離れるため、大統領級の首脳会議への出席は最後となる。出席すれば、関係が冷え込んでいるトランプとどのような出会いになるか、関心を集めている。
 一方、米州首脳会議に初めて出席するドナルド・トランプ米大統領は、ラ米で支持率16%と人気がない。「傲慢横柄強圧的」と受け止められているからだ。
 ラ米情勢に無知なトランプは独自のラ米政策を持たず、反革命亡命キューバ人系右翼マルコ・ルビオ共和党上院議員らの入れ知恵でベネズエラやキューバへの締め付けを強化している。
 トランプ政権は既に何度か公式、非公式にラ米に「ベネズエラ問題解決の軍事的選択肢を排除しない」と」働きかけているが、その都度、ラ米側から拒否された。
 アルマグロOEA総長と並ぶ反マドゥーロの急先鋒で右翼のマウリシオ・マクリ亜国大統領は、首脳会議で「ベネズエラ問題」を取り上げると表明しているが、これにトランプが乗って不用意・半可通な発言をすれば、会議は紛糾するだろう。
 会議の議題の一つは、汚職問題。クチンスキ秘前大統領は、ブラジルの建設会社オデブレシ(オデブレヒト)から賄賂を受け取った嫌疑がかけられている。