2013年8月11日日曜日

メキシコの麻薬王が「裁判手続き上の不備」で釈放さる


メキシコの麻薬王ラファエル・カロ=キンテロ(61)が8月8日、禁錮40年の実刑を12年残して釈放され、姿を隠した。「裁判手続き上の不備」が理由だった。

 カロは殺し屋を使って1985年1月、拠点のハリスコ州都グアダラハーラで、米国人2人を殺害した。米国・麻薬捜査局(DEA)の要員と間違えての犯行だった。

 次いで同年2月7日、DEA要員エンリケ・カマレーナとメキシコ人1人を殺した。カマレーナは拷問され、去勢されてから殺害された。

 カロはコスタ・リーカ逃亡中の85年4月逮捕され、メキシコに身柄を送還された。その後、連邦法廷で裁かれ、禁錮40年の実刑を言い渡されることになる。

 ハリスコ州の下級審は、カマレーナは外交官でなく一般市民として入国していたため、その殺害は一般の刑事事件であり、カロは連邦法廷で裁かれるべきではなかった、との弁護側主張に沿って、カロを釈放した。

 米政府は身柄引き渡しを何度も要請していたが、実現しなかった。釈放に怒り、必ず米国内でカロを裁く、と異例の強い意思表示をした。

 米墨麻薬取締協力は、7月凶悪な麻薬結社「ロス・セタス」の頭目ミゲランヘル・トゥレニーニョ逮捕に繋がった。だがカロ釈放で、メキシコのEPN大統領は、対米関係上、苦しい立場に追い込まれた。